藤原伊織_『ダナエ』

3編の中編集です。
・ダナエ…個展で画家の義父の肖像画を損傷させたのは地味な少女だった。
・まぼろしの虹…離婚しそうな両親、原因となった母の浮気相手を調べて行くうちに。。。
・水母…クラゲの映像アートの女性作家はある大学教授を異常に毛嫌いしていた。
どの話もミステリーとして読むと、謎の提示から追求までの過程は大変面白いのですが結末がちょっと拍子抜けです。ハードボイルドをミステリーとして読んではいけないのでしょうが(^^;)
     
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東野圭吾_『ダイイング・アイ』

『雨村慎介は何者かに襲われ、頭に重傷を負う。犯人の人形職人は、慎介が交通事故で死なせた女性の夫だった。』
主人公が交通事故の加害者という時点でなにやら不穏なのですが、妙に色っぽい幽霊(?)の出現で謎が深まります。記憶喪失、人形職人、マンションの怪しい一室、etc.いろいろ出てきてページをめくる手が止まりません。ラストでタイトルの意味がわかるのは上手いと思いました。でも一番印象的だったのは「交通事故というのは運だよ」という台詞です。私はペーパードライバーなのでその点は安心ですが(^^;)
     

藤井太洋_『オービタル・クラウド』

「テロ国家が開発した軌道兵器(オービタル・クラウド)から世界を救う」というテンプレの亜種です。肝心のオービタル・クラウドがイメージしにくかったり、登場人物に「若き天才」みたいのが多くて現実感を欠いたり、黒幕が「○○○」というのも今風ではありますが陳腐だったり、不満な点は少々あります。が、ネット上、宇宙、雪のシアトルと舞台を移す展開はなかなかスピーディーで迫力があり最後まで一気読みでした。
     

藤崎竜_『屍鬼 1』

大作ホラー小説の漫画化。絵に特徴がありちょっとゴチャゴチャした印象です。内容も原作小説はもう少しシリアスだった気がします。むか~しに読んだのでよく覚えていないのですが… 漫画の続きを読むよりは小説を再読した方が良いかな~(^^;)
     

星新一_『おみそれショートショート』

母にも読めるようにと、図書館で借りた大活字本です。内容は8篇のショートショートです。
星氏のショートショートはワンアイデアの鋭い切れ味が特徴だと思うのですが収録作はふたひねりぐらいあるものが多くやや切れ味を欠く感じでした。また説教臭く教訓めいた傾向もあります。書かれた時期などによる変化もあるでしょうし、私の受け止め方も昔よく読んだころとは少し変わったのかもしれません。
「時の渦」で起きる現象は理想的なので是非現実化してほしいものです。死者が生き返るのは余計ですが。。。
     






収録作品
・おかしな先祖
・逃亡の部屋
・うすのろ葬礼
・時の渦
・外郭団体
・木の下での修行
・包囲
・見失った感情

藤原伊織_『てのひらの闇』

『宣伝部課長の堀江は会長の石崎に呼び出され、偶然撮影した人命救助の映像をCMに使えないかと相談される。』
映像の謎解き、会長の自殺、と企業の広告絡みのミステリーだと思ったら実態は暴力団絡みのハードボイルドでした。主人公の(暴力的な)調査で事件は解明されていくのですが関係者の行動が必然性を欠きどうにもスッキリしません。映像の正体もなんかしょぼいし、キーとなる(驚愕の)事実もさすがに不自然です。 主人公も暴力的すぎて恰好良いとは思えません。。。どうやら私はハードボイルドとは相性が悪いようです(^^;)
 

坂東眞砂子_『葛橋』

「坂東眞砂子_葛橋」(B+)を読了しました。
男から逃げてきた妹をかくまう姉夫婦。姉は家を見下ろす樒(しきみ)の木の根元に男の吸っていた煙草の箱を見つける。

一本樒
作者の坂東眞砂子氏が亡くなったという報を聞き、長らく「積んで」あったこの本を読むことにしました。3編の中編集です。

・一本樒
実直で地味な姉と軽薄で派手な妹、危うい展開が予想されますが、その部分は当たってました。しかし、語り手でもある姉の意外な運命、前半から出てくる「またたび酒」「樒の木」の使い方には技を感じました。

・恵比寿
『漁師の家の主婦として忙しい日々を送る寿美は海岸で妙なものを見つける。』

・葛橋
『交通事故で妻を失った男が実家に帰ってきた。妻との思い出がある葛橋で妹の友人の篤子に出会う。』

3編ともドロドロした女の情念のようなものが感じられる作品でした。ミステリー要素がある「一本樒」はなかなか面白かったです。「葛橋」のイザナミ伝承に絡めたホラーチックなクライマックスはあまりに唐突と感じました。

藤子・F・不二雄_『のび太と鉄人兵団』

「藤子・F・不二雄_のび太と鉄人兵団」(A-)を読了しました。→読書リスト
のび太は偶然北極で巨大なロボットの足を拾い、自宅に持ち帰った。それ以来、家の庭に次々と降ってくるロボットの部品を、ドラえもんと協力して鏡面世界で組み立ててザンダクロスと名づけ、しずかを呼んで遊んでいた。

ウィキペディアより引用
TBSラジオの「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」のポッドキャストで今年3月に公開されたリメイク作品「ドラえもん 新・のび太と鉄人兵団 ~はばたけ 天使たち~」の映画評を聞きました。その中で『小説版ドラえもん のび太と鉄人兵団』があの「パラサイト・イヴ」の瀬名秀明氏の執筆で出版されていることを知りました。「これは読まねば!」ということなのですが、小説版を読む前に元の漫画版を読むことにしました。

ポッドキャストはこちら⇒http://www.tbsradio.jp/utamaru/2011/04/post_840.html

この漫画版はコロコロコミックに1986年に連載されたものでその年に公開された「ドラえもん のび太と鉄人兵団」の元となったものです。小説の方はリメイク映画ではなくこちらの漫画版を元にしているということです。

整理すると
(1)1986年の漫画
(2)1986年の映画=(1)の映画化
(3)2011年の小説=(1)の小説化
(4)2011年の映画=(2)のリメイク
と、4種類あります。

前置きが長くなりましたが(^_^;)、漫画の感想です。
ラジオパーソナリティーの宇多丸氏によると「ドラえもんの中でも一番ハード寄りに振った作品」とのことですが、私のようにSFが好きでドラえもんにはそんなに思い入れがないものからすると「所詮は子供向き」というのが第一印象です。お話的には突っ込みどころが多々ありますし(そこを楽しむのが吉)、ラストの問題解決の手段も反則気味で安易です。もっとも、作者もいい大人が読むとは想定していないでしょうからこれは仕方ないですね(笑) しかし、のび太たちが巨大ロボットを組み立てたり、美少女ロボットが登場したり、宇宙からの侵略者と戦ったり、などなどワクワクする要素は満載です。この物語の真の主役がしずかちゃんだということも高ポイントです。細かいところには目をつぶるとして少々残念なのはのび太たちが組み立てた巨大ロボットの活躍が意外と少ないことです。男の子ならこのロボットが大活躍するのを期待するのが必然ですからね~ 登場するひみつ道具では無人の鏡面世界に入り込める「入り込み鏡」がとっても欲しいです(笑)

この漫画をあの瀬名秀明氏がどのように小説化しているのか興味深いところです。「近年はロボット関係の著述活動に力を入れている。」とのことですのでその辺の視点も取り入れられているのでしょうか? 図書館の予約順がもう少しなので楽しみです♪

表紙絵はこちら(Amazon.co.jp)

畠中恵_『ぬしさまへ』

http://a248.e.akamai.net/f/248/37952/1h/image.shopping.yahoo.co.jp/i/j/7andy_31132745
「畠中恵_ぬしさまへ」(B+)を読了しました。→読書リスト
日本橋大店の若だんな・一太郎は、めっぽう身体が弱く、くしゃみひとつとしただけで布団にくるみ込まれてしまう始末で、放蕩なんてことは、夢のまた夢。そんな若だんなの身の回りを守っているのは、犬神・白沢・屏風のぞきといった摩訶不思議な連中たち。でも、店の手代に殺しの疑いをかけられたとなったら黙っちゃいられない。若だんなの音頭のもと、さっそく妖怪たち総出で調べに乗り出すのだが…。若だんなと妖怪たちが、難事件を次々解決!史上最弱だけど、最強の味方が憑いてる若だんなの名推理。

「BOOK」データベースより

長編の前作「しゃばけ」の続編ですが、こちらは6編から成る短編集です。病弱な若旦那が取り巻きの愉快な妖たちの協力で江戸に起きる不思議な事件を解決していく、というのが基本的なフォーマットです。

前作と同様、若旦那や手代たち、鳴家、屏風のぞき、などのキャラクターやその軽妙なやり取りは大変楽しく読めます。特に千年も人の世界で暮らしているのに未だに微妙な感覚のズレがある手代たちの言動にはくすりとさせられます。また千年の恋を持ち続ける仁吉はあまりにも純で好ましく思え、仁吉については若旦那を守る理由が少しわかりました。

反面、人の醜さがはっきりと浮かび上がる描写も目立ちます。「空のビードロ」のおりんや、「仁吉の思い人」の弥七など、救いようのない悪人が存在するのです。私は物語中の心弱い人物や悪人に共感する場合も多いのですが、ここで描かれる悪人はちょっとどぎつい感じがします。いい人キャラの松之助(若だんなの腹違いの兄)でさえ恐ろしいことに手を染める誘惑に駆られるところにはなかなかリアリティを感じます。

Web上では「さらっと読める」とか「ほのぼのとした」という感想が多いのですが、意外と重いテーマを扱ったものが多く、読むのに結構エネルギーが必要でした。



2009/9/29追記
OYAJIさんの記事(TB先)に画像の合法的な貼り方が記載してあるので参考にして追加しました。

ひぐちアサ_『おおきく振りかぶって 1~3』

「ひぐちアサ_おおきく振りかぶって 1~3」を読みました。→読書リスト
主人公の三橋廉(みはし れん)は中学時代、祖父の経営する群馬県の三星学園野球部でエース投手だったが、チームメイトからは「『ヒイキ』でエースをやらせてもらっている」と疎まれ続け、極端に卑屈な暗い性格になってしまう。その暗い思い出を拭うために埼玉県の西浦高校へと進学する。

西浦高校には発足したての野球部(正確には軟式野球部が硬式野球部になった)があり、部員は新入生ばかり10人、しかも監督は若い女性という部活だった。部員不足の野球部で三橋はまたもエースを任せられるが……。

個性の強い部員達、弱気で卑屈なエース等々、様々な問題を抱えながらも、人間として、野球部としての成長を描く。

「おおきく振りかぶって」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』より引用。
SFマガジン2008-2のコラム「SFまで100000光年」で紹介されていたので読んでみました。
青年漫画雑誌月刊アフタヌーンに連載中で単行本はこれまでに12巻出ています。

弱小野球部が成長していくという定番の筋書きの野球漫画です。
しかし、やはり「弱気で卑屈なエース」という斬新な設定がこの作品を個性的なものにしています。
個性的なエースといえば「バッテリー」の「原田巧」を思い出しますが、真逆ですね~(笑)

弱気で卑屈なエースの他にも、そんなピッチャーを支える(少々屈折した)優秀なキャッチャー、能天気な天才バッター、指導に非常に熱心な怪力美人監督、などなど個性的なキャラクターが揃っています。
また「本格高校野球漫画」という宣伝文句の通り試合描写もそれっぽくていい感じです。もっともここまでは練習試合1つ、他校の試合観戦1つですし、私も高校野球の知識は無いので実際はどうだか良くわかりませんが(笑)

エースの三橋は特に才能があるわけじゃないし、いわゆる魔球とかは出て来そうにないし、普通に考えれば1年生だけのチームが公式戦を勝ち進めるとは思えません。一般的な野球漫画のような「甲子園出場」というクライマックスはなさそうです。今後どのような展開になるかちょっと予想できません。

作者のひぐちアサ氏は女性です。そのためか少女漫画チックな絵柄で登場人物は美少年揃いです。
ここまではバッテリーの2人が話の中心で、ピッチャーとキャッチャーの信頼関係とかの話が多いのですが
なんか「あっち」の香りが…(笑)
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