横山えいじ_『ルンナ姫放浪記』

SFマガジンでは現在(?)ギャグ漫画「おまかせ!レスキュー」が連載中です。見開き2ページの連載はSFマガジンの連載陣の中では意外と一番面白いような気もします。この作品は同じ作者の1990年から1998年の連載をまとめたもので、微妙なクオリティですがなんか中毒性があります。白馬星のおてんば姫のルンナがお供を連れて宇宙を放浪するというのが大枠ですが、ルンナ姫の驚愕の秘密も明かされたりしていてファン(いるのか?)なら必見です。
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横山秀夫_『震度0』

『阪神大震災当日、遠く離れたN県警本部は別の揺れに襲われる。本部長の懐刀の刑務課長が失踪したのだ。』
刑務課長失踪をめぐる警察内部の権力争いの話です。キャリア2人、準キャリア1人、ノンキャリア3人の県警幹部たちがそれぞれの思惑で動きます。人間の浅ましさだけが際立ち、出世など無縁の生活を送る私にとってはまるで別世界。。。 唯一警備部長はひとかどの人物で救われます。ひとでなしの生安部長も嫌いじゃありませんが(笑) 失踪の謎解きの過程はなかなか面白いのですが結末はちょっと唐突に感じました。

*横溝正史_『金色の魔術師』

「横溝正史_金色の魔術師」を再読しました。
小学生のときに読了した作品。
金色の魔術師と名乗る怪老人が「わしには7人の少年少女が必要だ」と言い残し学校の校門前を立ち去る。その言葉通り少年少女が連れ去られ奇怪な方法で悪魔の生贄に捧げられる。その場に立ち会った立花滋少年は金田一耕助に手紙で相談する。
「獄門島」の記事で書いたように小学生の時に読んだのですが、江戸川乱歩の怪人二十面相シリーズに比べると随分おどろおどろしい記憶がありました。しかし、今読むとやはり少年向けということでかなりわかりやすい文体で書いてあります。まぁ当然ですが(笑)

それでも金色の魔術師自身や、その生贄儀式、また少年を助ける黒猫先生、などなどの妖しさは横溝正史らしさがあり、江戸川乱歩とは一線を画す雰囲気を持っています。ただ、トリックはやはり子供だましです。特に少女を空気のように消してしまうトリックの種明かしには脱力しました。これでは「警察は何をやってんだか…」って感じです。終盤の星座絡みの謎解きはまぁまぁでした。

金田一耕助の描写も明らかに大人向けとは異なります。病弱で静養が必要というそれっぽさもありますが、変装や武術に長けるヒーロー的な面が強調されています。まぁ、オリジナルのような変人では少年の人気を得るのは難しいでしょうが(笑)

怪人二十面相シリーズに比べるとネームバリューには欠けますが少年向けとしては十分な面白さを持っています。横溝正史はこの他にも多くジュブナイルを書いているようで、解説によると昭和23年から立て続けに「怪獣男爵」「夜行怪人」「大迷宮」「金色の魔術師(本作)」が書かれています。タイトルからすると「怪獣男爵」は気になりますね~ 湖に怪獣を隠し飼ってるのかな(笑)

私が読んだ本の表紙絵はこちら(角川文庫)
セブンネットショッピングはこちら

横溝正史_『日本探偵小説全集(9)』

「日本探偵小説全集(9)横溝正史集』(A-)を読了しました。
戦前の浪漫主義を代表する「鬼火」は発表時の削除訂正を復元し、併せて乱歩の「陰獣」と並ぶ竹中英太郎の傑作挿絵を全点復刻した。戦後本格探偵小説の途を開いた『本陣殺人事件』及び『獄門島』の二大長編、そして同じく金田一物の名品「百日紅の下にて」「車井戸はなぜ軋る」に、発表紙のあてもないまま書きたくて書いたという「探偵小説」を配す。

裏表紙より
【鬼火】
従兄弟同士の人間関係が大変どろどろしています。そう言えば子供の頃って意味なく張り合ったり憎みあったりする天敵のような関係の相手がいたものです。連載時の復刻という挿絵もおどろおろどしいです。

【探偵小説】
モダンな雰囲気、スマートな謎解き、で他の収録作品とは違う感じです。こういうのも結構好きです。

【本陣殺人事件】
三本指の男、生涯の仇敵、切り取られた日記、などが謎を呼び、おどろおどろしさを演出します。ただ、子供のころ学習雑誌かなんかでダイジェスト版のようなものを読んで犯人を知っていたので面白さ半減となってしまいました。残念!(>_<)

【百日紅の下にて】
少女を育てて妻にするって発想は常軌を逸しています。夕日の中、廃墟に残された百日紅の下で交わされる会話の情景が目に浮かびます。

【獄門島】
先行して読み、すでに記事にしました。→http://blogs.yahoo.co.jp/biginnerreader/43603805.html

【車井戸はなぜ軋る】
義眼の復員兵というのがなかなか不気味です。映像化したら面白いかもしれません。殺人の被害者より、語り手の少女やその母親の運命の方が切なく感じました。



解説で栗本薫氏が言っているようにイメージが非常に鮮烈です。「鬼火」以外の作品にはイラストは無いのですがとても生々しく伝わって来ます。犯罪の動機が常軌を逸している場合が多いのですが、そうなってしまってもおかしくないような背景があり、なんとなく納得できます。皆古い作品なのでさすがにストーリーやトリックには特別なことはあまりありませんが… 金田一耕助ものの長編は私の読書ローテーションに入れることにします。

表紙絵はこちら(Amazon.co.jp)

横溝正史_『獄門島』

「横溝正史_獄門島」(A)を読了しました。
金田一耕助は病死した戦友の鬼頭千万太の頼みで彼の故郷である獄門島を訪れる。
死の間際、千万太は「…妹たちが殺される…」と言い残していた。
いつもお世話になっている藤中さんのベスト小説のひとつということで読むことにしました。横溝正史は私が子供のころ映画ブームがありました。テレビでも再三やっていましたがちゃんと見た記憶はありません。小説も少年向けの「金色の魔術師」と「三つ首塔」くらいしか読んだことがありません。勝手に暗いイメージを抱いていたのですが、意外とエンターテインメントでサスペンスに富んでいてかなり楽しめました。

本鬼頭の座敷牢に幽閉される当主の与三松、その娘で美しくも妖しい三姉妹、分鬼頭の美しい後妻 志保、分鬼頭に居候する美少年 鵜飼、などなどいかにも怪しい人物が登場します。その一方で駐在の清水、床屋の清公、典座の了沢、漁師の竹蔵、などは田舎ならではの素朴な人たちで好感が持てます。これらの人々や風景の描写が物語全体の不気味でいて反面のどかな、何とも言えない雰囲気を醸し出しています。

遺体発見シーンの凄惨さはとても鮮やかで印象に残ります。特に最初の「梅の枝から逆さ吊り」はなかなか強烈です。次に何が起こるのか金田一耕助や読者には予想できるにもかかわらず防ぐことができない焦燥感もいい感じです。外部からの侵入者や、未帰還の当主の甥の存在も緊張感を高めます。最終的な謎の解明の様子もしっかりと描写される納得のいくものです。他の本格推理ではこの部分が「名探偵のひらめき」的な根拠のないもので不満に感じることが多いのですがそこがクリアされています。犯行の動機は少々弱い気もしますが「そろいすぎたよ、条件が…」というある人物の言葉で一応納得できます。もっとも金田一耕助が事件を防ぐことができなかった上に原因にすらなっているというのは皮肉ですが…

作品の問題ではないのですが … 事件の重要なキーワードを読む前にネットで知ってしまったのが大変残念でした。これを知っていたので私には途中で真犯人の目安がついてしまい、面白さが半減したかもしれません。ミステリーを読むときにはネット情報に注意が必要だと痛感しました(>_<)

この小説は「日本探偵小説全集(9)横溝正史集」で読みました。残りの5編は近々読む予定です。

横山秀夫_『陰の季節』

「横山秀夫_陰の季節」を読了しました。→読書リスト

D県警警務部の柘植警部の職務は「議会対策」。県会議員と県警本部の関係を円滑にするために根回しをしたりするのが仕事である。県議会が近づいたある日、1人の議員が県警に対する爆弾質問を用意しているらしいという情報が入る。柘植は事態の収拾に奔走するが… 「鞄」

以前読んだ「半落ち」の横山秀夫氏の警察の内部事情を描く4編からなる連作短編集です。半落ちでは色々な組織のことが描かれましたがこの作品では警察内部、しかも警務部(企業で言えば総務にあたる?)の視点で描かれています。警察を舞台にしたミステリーなのですが、謎の対象が人事であったり署員の不祥事であったり、
地味といえば地味です。


・「陰の季節」…天下り先での異動を拒む大物OBの事情とは…
落ちにちょっと無理があり正直いまひとつです。

・「地の声」…女絡みの密告を受けた署員はパッとしない男だった。
結末は意外だけどそこに至る過程がまわりくどく感じました。

・「黒い線」…犯人逮捕に結びついた似顔絵を描いた婦警が失踪した。
これは面白い。失踪した婦警の事情にも納得がいきます。

・「鞄」
事件の真相は非常に意外ではあるけど不自然さはありません。
おっと、そう来たか!という感じで大変面白かったです。


前2編は雑誌に載ったもので、後2編は単行本書下ろしです。
私の好みは断然書き下ろし作品ということになりました。

横山秀夫 『半落ち』

読書リスト(3)に「半落ち  横山秀夫」を追加しました。
「このミステリーがすごい!」2003年版(2002年の作品)国内作品 第1位

現職の警察官が妻を殺害した。アルツハイマー病を患う妻に請われての嘱託殺人であった。
事件自体には謎は無い。しかし、殺害から自首までには頑として語られない2日間の空白があった。
この間彼は何をしていたのか?

この事件に関わる6人のリレー形式の構成となっています。6人は刑事、検事、記者、弁護士、裁判官、刑務官とそれぞれ違う組織に属する人物。それぞれの考え方、良心、欲望、そして所属する組織との軋轢などが描かれていきます。意に反して妥協するという場面も多くリアリティを感じさせます。

最後には「2日間の空白」の謎は明かされるのですが、不覚にもうるうるしちゃいました。
ただ冷静に考えると、隠す必要が無い気も…。
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