近藤史恵 _『サクリファイス』

ストーリーセラー掲載の外伝(前日譚)の絡みで読みました。外伝同様、自転車ロードレースの独特の世界を描き出します。物語ではチームのエースの石尾の存在感が大きいのですが、色々確執があり不穏な空気が漂います。スポーツ小説だと思って油断していたのですが大事件の発生に衝撃を受けました。そして、主人公がたどり着く真実には戦慄しました。とは言え「そこまでしなくても…」が正直な感想ではありますが… 主人公よりも石尾の話という側面が強い作品なのでこの続きがどうなっているかは気になります。
     
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角野栄子_『魔女の宅急便』

先日有名なアニメ映画を見たので原作を読んでみました。設定やキャラクターはほぼ同じで、児童書なので物語りはシンプルです。エピソードは共通しているところもありますが、飛行船は映画オリジナルですし映画にはないものもあります。楽器を運ぶエピソード、お正月を運ぶエピソード、なんかはキキが少しずつ街に溶け込んでいく様子が良くわかります。1年たってキキが里帰りするところでこの巻は終わっています。小説には続編もあるので、映画の続きが気になっている方にはお薦めです。
     

小松左京_『日本沈没』

先日リメイクの映画を見たので原作小説を読んでみました。日本沈没のメカニズムを解説する部分、それに対する政府の対応の描写は重厚です。沈没のメカニズムはもちろん(おそらく)トンデモですし、政府の対応は先の震災の実際を考えると出来すぎの感はありますが。。。 リメイク映画のトンデモ日本沈没阻止作戦は原作には存在さえしませんでした(笑) 筒井康隆氏によるパロディ「日本以外全部沈没」や谷甲州氏と合作の続編は読まなければと思います。
     

京極夏彦_『厭な小説』

『存在しないチェストに何度も足の小指をぶつけてしまう。厭だ。 ~厭な家』
ボロボロの装丁が、天・小口・地が焼けているのが、厚い割に妙に軽いのが、厭だ…
厭な小説を集めた連作短編集ですが、中身は不条理な不思議話で読む分には言うほど厭じゃありません。一番良かったのは時間SFっぽい(?)「厭な家」です。「ほんぶちょうッ」のオチも秀逸です。一番厭だったのは「厭な先祖」の志村君の言い草です。ああいう言い方されると不安になります(^^;) 
面白かったので読み終わってしまうのがちょっと厭でした(笑)
 

業田良家­_『自虐の詩』

「業田良家­_自虐の詩」(A-)を読了しました。→読書リスト

気に食わないことがあるとすぐちゃぶ台をひっくり返すろくでなしのイサオとそれに尽くす幸江の日常を描くギャグ4コマ漫画です。意外と優しい面もあるイサオ、意外と強い面もある幸江、幸江の相談相手となる隣のおばちゃん、幸江に惚れている定食屋のマスターなどの個性のある人物が登場します。それなりに笑えるのですが基本はワンパターンの定番4コマ漫画という雰囲気です。

途中から幸江の子供の頃の話が混ざってきて、イサオよりたちの悪い幸江の父親も登場したりして4コマながらストーリー漫画の様相を呈してきます。友情や恋愛など割合普通の青春も交えつつ、なかなか壮絶な幸江の半生が描かれます。ちょくちょくベタなギャグはありますが笑えない話も多く、時には4コマですらないものもあります。Wikipediaによると「泣ける4コマ」として定番になっているとのことです。私は泣きこそしませんでしたが、確かに普通の4コマ漫画とは違う味わいでした。

阿部寛、中谷美紀の主演で映画化されています。中谷美紀は幸江役としてはちょっと美人すぎる気もしますが(笑) 偶然ですが現在GyaO!で配信中、これは見なけりゃ!

表紙絵はこちら(Amazon.co.jp)

貴志祐介_『新世界より』

「貴志祐介_新世界より」(A)を読了しました。→読書リスト
ここは汚れなき理想郷のはずだった。1000年後の日本。伝説。消える子供たち。
子供たちは、大人になるために「呪力」を手に入れなければならない。一見のどかに見える学校で、子供たちは徹底的に管理されていた。
いつわりの共同体が隠しているものとは――。何も知らず育った子供たちに、悪夢が襲いかかる!

Amazon.co.jp 内容紹介より
舞台が1000年後の日本、そして人は成長すると「呪力」と呼ばれる超能力を持つ、というファンタジー色の強い設定です。そのために世界観を説明するのに紙面が割かれ、それを把握するまでに時間がかかります。この辺がちょっととっかかりにくい感じです。小説は物語開始時12歳の早季という少女が後年手記を書くという体裁で進められます。

さまざまな異形のクリーチャーが登場します。その描写はなかなかおぞましいのですが実は何よりも呪力という圧倒的な力を持つ人間たちが怖いのです。凄まじい呪力を持つ鏑木肆星や日野光風だけではなく主人公の早季や幼馴染の覚の使う呪力でさえ無慈悲で恐ろしいものがあります。

主人公目線の書き方なのですが、どうも違和感が漂います。成人男性の作者が無理に少女視点で書いているからなのかとも思っていましたが… また、呪力を持つのをいいことにした人間たち(早季たちを含む)の行為の身勝手さが目に余ります。私はなにかとバケネズミを応援しながら読んでしまいました… しかし最後の種明かしでこれらの違和感にもなんとなく納得しました。

「呪力」と現代の科学技術がどうしても重なって思えます。どちらも非常に便利なのですが扱いが難しく諸刃の剣であるという点が似通っています。原発事故の件もありますしね… どうも(現実の)人類はパンドラの箱を開けてしまったという感は拭えません。今更昔に戻るのには慣性が付きすぎているでしょうが…

重厚っぽいタイトルの割にはなかなか「トンデモ」で私としてはとても楽しめました。ただし感動を求める「良い話」を期待する方にはちょっとお勧めできません(笑)  タイトルの「新世界より」は有名な第二楽章から採られたようですが、作風自体は荒々しい第一楽章の方に近い気がしました。

バケネズミの祖先とされるハダカデバネズミですが画像をネット検索したら意外とかわいいのです。アニメ化されるようですがバケネズミも可愛くキャラクター化したら人気が出るかもしれません(笑)

表紙絵はこちら(Amazon.co.jp)

五條瑛_『ROMES06』

「五條瑛_ROMES06」(A-)を読了しました。→読書リスト
西日本国際空港(西空)の警備の要は最新のROMESというシステムである。変わり者の警備主任成嶋の下で砂村は日々の業務に従事している。その西空に複数のテロの予告状が届き、ROMESのアラームが作動する。
「謎のテロリスト集団vs空港の警備隊」という図式のサスペンスです。正体や目的が不明な犯人グループがどのように攻撃するのか、また空港側は能力の全貌を読者にも明かさないROMESでどのように対抗するのか、という展開はなかなかスリリングです。

やはり特徴的なのはエリート警備主任の成嶋です。人よりも警備システムROMESや犬のハルを信用する変わり者で砂村らを翻弄します。ちょっとナリスを彷彿とさせるキャラクターですね。砂村は苦労性のヴァレリウスってところでしょうか(笑) もし上司にするなら堅物の宮城主任の方が安心ですね~(笑)

タイトルにもなっているROMES自体は顔認識システムに過ぎません。実際に実用化するには技術上、倫理上のハードルが高そうですが小説の仕掛けとしては意外と地味でした。最後のROMES06の正体は結構トンデモでしたが、登場のタイミングや果たした役割には少々疑問が残ります。

謎に包まれた犯人グループの正体が少しずつ明らかになっていくのもなかなかです。特にリーダーのエースの正体は意外でした。少々反則気味ではありますが… ただ、これだけ大掛かりのことをするには動機が弱いと思います。そもそも復讐される側に意図的な悪意があったとは常識では考えられませんし復讐したからといって何かが変わるわけではないからです。この点では悪役のDHの動機の方が直接的なのでまだ理解できます。

全体に映像的な印象を持ちました。と思ったらNHKでドラマ化されているんですね~

表紙絵はこちら(Amazon.co.jp)

金成陽三郎/さとうふみや_『金田一少年の事件簿 1~3』

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「金成陽三郎/さとうふみや_金田一少年の事件簿 1~3」(B+)を読了しました。→読書リスト
同級生の時田若葉の結婚式に出席するために金田一一、幼馴染の七瀬美雪、教師の小田切進の3人は若葉の生まれ故郷の異人館村を訪れた。ところが若葉の家の地下室で一たちは「首のないミイラ」を見つけてしまう。
先日読んだ「占星術殺人事件」のトリックを無断流用して問題になったということで興味を持ったので読んでみました。講談社コミックスの1~3巻では「オペラ座館殺人事件」と問題の「異人館村殺人事件」の全話の他に「雪夜叉伝説殺人事件」の途中まで収録されているのですが、今回は「オペラ座」と「異人館」だけ読みました。

「異人館」では「占星術」で驚愕をもたらしたメイントリックを流用しています。一は一回は解明に失敗するものの割合簡単にこの部分を解明してしまいます。わかってしまえば簡単でシンプルなトリック(良いトリックの条件だと思いますが)だけにちょっと使い方に問題がある感じです。少々アレンジは加えてあるもののこれでは島田荘司氏が怒るのも無理もないかとも思います。

とは言え、全体としては全く違う話ですし他にもいかにも本格っぽいトリックもあって十分楽しめました。トリック流用の事前承認があれば問題はなかったような気がします。承認するかどうかはまた別問題ですが…

この手のミステリーマンガをまとめて読んだのは初めてですが、マンガで本格推理っていうのはけっこう相性が良いかもしれません。絵に描くことでトリックの説明もわかりやすいですし、元々本格推理って荒唐無稽な部分があるからその点でも向いている気がします。

*小林泰三_『玩具修理者』

「小林泰三_玩具修理者」を再読しました。
1996/10/8に読了した作品
どんなに壊れた玩具でも、その玩具修理者は直してくれた。
“私”は誤って死なせてしまった弟を彼のところに連れていった。弟は生き返った・・・・・が。
生と死を語る奇妙な“修理者”が誘う幻想の世界。

玩具修理者(Amazonの紹介文より)
第2回日本ホラー小説大賞短編賞受賞の表題作に書き下ろしの中編を加えた構成です。

「玩具修理者」は作者得意のグロテスク描写が特徴のホラーです。なかなか激しくグロテスクなので読者を選びますが… 「ようぐそうとほうとふ」「くとひゅーるひゅー」「ぬわいえいるれいとほうてぃーぷ」など意味不明な単語が出てきますが、これはクトゥルー神話(私は未読)に由来するらしいです。話の展開自体は想定の範囲内ですが、最後の3行でちょっとやられました。

酒場で出会った男は“私”の大学時代の親友だと言う、しかし私は彼を知らない。
興味を惹かれその話を聞いてみることにしたが…

酔歩する男
実は今回は「酔歩する男」の方を再読したかったのです。簡単に言うと、意識を失うとタイムスリップしてしまう男の話です。導入部で少しグロテスクな描写がありますがその点は比較的穏便です。眠るたびにランダムにタイムスリップしてしまうので、因果関係が崩壊し眩暈がするような展開に翻弄されます。また眠るだけではなく死んでもタイムスリップしてしまうので結局… 「人間の意識が時間の流れを作り出している」「時間は本来連続していない」という大胆な想定がこの作品のキーポイントとなっています。また「菟原 手児奈(うない てこな)」という意味不明な名前の人物が出てきますが、こちらは日本の伝説に由来するらしいです。これまでに時間SFは数多く読みましたがこれほど壮絶なタイムスリップものは他にはありません。題名どおり読むと酔っ払います(笑)

表紙絵はこちら

小林聡美_『東京100発ガール』

「小林聡美_東京100発ガール」を読了しました。→読書リスト
三十歳ともなれば、酸いも甘いもかみ分けたクールでイカしたオトナの女、のはずが、彼の誕生日に花ドロボーになり、禁断のエステで新たな快楽に目覚め、通販でいらない物を買いまくり、新品のスニーカーで、犬のウンコを踏みしだく…。マダム小林が結婚直前に二匹の猫と過ごした、気ままな中にも笑える事件続出の日々を綴るエッセイ集

裏表紙より
「凛々乙女」と同じ1995年に単行本が出版されています。そのためか「凛々乙女」と良く似たテイストです。
この頃は、94年に2冊、95年に2冊とエッセイを量産しています。なんか張り切ってたみたいです(笑)

還暦の母親と一緒に行ったパリ旅行の話があるのですが、旅行先で母親が年をとったことを初めて実感するくだりはちょっと人事とは思えませんでした。私もちょっとは親孝行をしようと思います(^_^;)
その他、テレビの仕事で小学生とキャンプする話、お婆ちゃんのような自分の手にコンプレックスがある話、などなどが収録されています。時折、文中に「彼」が出てきますが、このエッセイは結婚直前に書かれたものなので
「彼」とは三谷幸喜氏のことなのですね~

日常の出来事を軽妙に綴る中で本人の飾らない人柄が良く出ているエッセイ集です。
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