北村薫_『街の灯』

第141回直木賞受賞作「鷺と雪」のシリーズ第一作で、昭和初期を舞台にお嬢様探偵が事件を解決するものです。馴染みのない時代、階級の暮らしぶりは現代の感覚とはかけ離れていて違和感を覚えつつも興味深く読みました。「ベッキーさんシリーズ」とのことなんですが、この作品ではベッキーさんの出番は少なめで謎めいた存在にとどまっています。主人公の英子はお嬢様とはいえ単なる社長令嬢(!)なので華族のお嬢様とは格が違うようでその辺が面白いところです。事件の謎解きは他の本格もの同様、納得いくようないかないような微妙な感じです(^_^;) 私はこの作家は「時の三部作」とかSFテイストの作品の方が好きですね~
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北村薫_『覆面作家の夢の家』

「北村薫_覆面作家の夢の家」を読了しました→読書リスト
12分の1のドールハウスで行われた小さな殺人。そこに秘められたメッセージの意味とは!?天国的美貌を持つミステリー界の人気作家「覆面作家」こと新妻千秋さんが、若手編集者、岡部良介とともに、残された言葉の謎に挑む表題作をはじめ、名コンビが難事件を解き明かす全3篇を収録。作家に探偵、おまけに大富豪のご令嬢と、様々な魅力を持つお嬢様探偵、千秋さんの名推理が冴えわたる
“覆面作家”シリーズ第3弾。

裏表紙より

「覆面作家」シリーズ全3作の完結編です。千秋と良介の関係を軸に3つの謎が解かれていきます。

収録作品
・覆面作家と謎の写真
・覆面作家、目白を呼ぶ
・覆面作家の夢の家

ミステリーとしては本当の殺人事件を扱う「目白を呼ぶ」が面白かったです。「交通事故に見せかけて」という定番の殺人なのですが、これは実行できそうな気がするので機会があったら試してみたいと思います(笑)
いかにも推理小説らしい展開で、このシリーズは基本的には日常の謎なのですが中にはこういうのもあるので油断できません。

表題作の「夢の家」は手の込んだ暗号ものです。あるものが謎解きの鍵になるのですがその辺に興味があればより楽しめるでしょう。小道具として使われるドールハウスはなんか高尚な趣味のような気がしていましたが、手法的にはプラモデルで作るジオラマとあまり変わらないようなのでちょっと親近感が沸きました。

良介と千秋の関係もちょっと進展があってほのぼのとした結末となっています。仕事にかこつけて千秋とのデートを画策する(?)良介の公私混同ぶりはちょっとひどいですが(笑) 少々残念なのは千秋の活動的(暴力的)な外の顔がいまいち影を潜めた点でしょうか?ハラハラする感じが好きだったのですが…
解説の有栖川有栖氏も述べているとおり千秋のけったいな二重人格の謎は放置されています。どういう子供時代を送るとあんなのになるのでしょう?最後に登場した千秋のお父さんによる児童虐待が原因ということはないとは思いますが(笑)

作者の北村薫氏は先日「鷺と雪」(私は未読)で直木賞を受賞されました。以前候補になって受賞を逃した「スキップ」「ターン」はとっても好きな作品です。今度は受賞作を含む「ベッキーさんシリーズ」を読もうと思います。

北村薫_『覆面作家の愛の歌』

「北村薫_覆面作家の愛の歌」を読了しました。→読書リスト
ペンネームは覆面作家―本名・新妻千秋。
天国的美貌でミステリー界にデビューした新人作家の正体は、大富豪の御令嬢。
しかも彼女は現実に起こる事件の謎までも鮮やかに解き明かす、もう一つの顔を持っていた!
春のお菓子、梅雨入り時のスナップ写真、そして新年のシェークスピア…。
三つの季節の、三つの事件に挑む、お嬢様探偵の名推理。
人気絶頂の北村薫ワールド、「覆面作家」シリーズ、第二弾登場。

裏表紙より
「覆面作家は二人いる」の続編です。

良介のライバル誌の若手女性編集者 静さんが新キャラとして登場しました。近来まれにみる《歌って踊れる》編集者だそうで、なかなか個性的です。千秋と2人でカラオケや観劇に行ったり、すっかり仲良しで良介はうかうかしていると千秋を小説わるつに持って行かれそうです。

表題作「覆面作家の愛の歌」は頭脳派殺人犯と名探偵の対決という図式になっています。電話を使ったアリバイのトリックは複雑ですがとてもよく考えられたもので感心しました。このアイデアのために書かれた作品なのでしょうね。ただ、証人が途中で目を覚まさない事が前提になっているなど不確実な要素があるのでミステリとしてはどうなの?と思うところもあります。犯人はいやらしいサイコキラーで模倣犯のピースを思い出しました。

3つの中編で1冊なのでそれぞれ少々長いのですが、漫画テイストで非常に読みやすいのでサクサク進みます。良介と千秋の仲がサイコキラーのおかげで進展しました。また優介と静さんもお付き合いしているようです。
2つの恋の行方が次の最終巻「覆面作家の夢の家」でどうなるのかも少しだけ気になります。

登場人物
・新妻 千秋…天国的な美貌を持つミステリ作家
・岡部 良介…『推理世界』の編集者、千秋の担当
・岡部 優介…良介の双子の兄、刑事
・静 美奈子…『小説わるつ』の若手編集者

収録作品
・覆面作家のお茶の会
・覆面作家と溶ける男
・覆面作家の愛の歌

北村薫_『覆面作家は二人いる』

「北村薫_覆面作家は二人いる」を読了しました。→読書リスト

姓は「覆面」、名は「作家」―本名・新妻千秋。
天国的な美貌を持つ弱冠19歳の新人がミステリ界にデビューした。
しかも、その正体は大富豪の御令嬢…ところが千秋さんには誰もが驚く、もう一つの顔があったのだ!?
『推理世界』の若手編集者・岡部良介を混乱させながら、日常世界の謎を鮮やかに解き明かすファン待望のシリーズ第一弾。
お嬢様名探偵、誕生!

裏表紙より

作者の北村薫氏の小説は以下の4つに大別されています。
-引用元「北村薫」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』( http://ja.wikipedia.org/ )-
・『円紫さん』シリーズ
・『覆面作家』シリーズ
・時と人 三部作(「スキップ」「ターン」「リセット」
・その他の小説

私はこれまで7冊読みましたが、SFテイストの「時と人 三部作」は大変面白いと思いましたが、
『円紫さん』シリーズに代表される「日常の謎」ものはちょっといまいちだと感じていました。

で、本作は「日常の謎」ものです。とはいえ一発目は殺人なので日常とはいえませんが(笑)
良介が謎を持ち込み、その話を聞いた千秋がたちどころに真相を看破するという、「安楽椅子探偵」の
フォーマットが基本的なスタイルです。
しかし千秋の「もう一つの顔」が物語に活気を与え非常にアクティブなものにしています。

内向的で人間恐怖症でさえあるお嬢様然とした千秋の変身はなかなか劇的です。この話の面白さは千秋の
キャラクター造形が大部分を占めています。ま、変身しても人としての本質的な部分は変わらないのですが。
「金看板御免正札付きの美人」だというその容貌を想像するのも男としては楽しみなわけです(笑)

登場するトリックは、いわゆる本格テイストで、私としてはやや納得いかない部分は残ります。
これは私と「本格」の相性なので仕方ないでしょうね。少し都合がいいと感じるのは否定できません。

いろいろなところに出てくるちょっとしたユーモアが秀逸です。千秋のキャラクターとあいまって全体的に
漫画的な展開になっています。実際、1994年に美濃みずほにより漫画化され、1998年には ともさかりえ
主演でテレビドラマ化もされています。(当時の)ともさかりえ なら千秋のイメージに合いそうです。

この『覆面作家』シリーズは「覆面作家の愛の歌」「覆面作家の夢の家」とあと2冊あります。
そちらも読むつもりです。

北村薫_『リセット』

読書リスト(4)に「北村薫_リセット」を追加しました。

第一部:戦前~戦中
水原真澄は裕福な家庭で何不自由なく育ったお嬢様。しかし、そんな彼女の生活にも戦争は影を落とす
ようになる。勤労動員先の工場が爆撃を受けた時、真澄は無事逃げ出すことが出来たが…

第二部:現代
村上和彦は入院中。病気が回復し退屈した彼には語っておきたいことがあった。ラジカセに向かって語り
だした話は彼が小学5年生だった昭和35年から始まる。

作者の《時と人》三部作の第三作。第一作「スキップ」第二作「ターン」は非常に楽しめました。
先日作者のエッセイを読みこの作品を読んでいないのに気が付いたので「これはいかん!」と
早速読みました。

「スキップ」「ターン」はダイナミックな展開をみせるSFチックなファンタジーなのですが、それに比べるとかなり
穏やかです。「お嬢様」から見た戦前~戦中、「普通の小学生」から見た昭和30年代が細やかに描かれます。
ノスタルジックな雰囲気が漂いまるでその場にいるように錯覚します。

第一部と第二部の交差は物語の後半に入ってからじんわり明らかになっていきます。本が非常に重要な役割を果たすところは私のような「本好き」にはたまらないところです。その他、音楽、切手 などの小物がキーアイテムになっています。骨格となる仕掛け自体は決して目新しいものではありませんが、その肉付けの仕方が見事で
心を揺さぶられる物語となっています。

あえて難を言うとオチ(?)がやや唐突なこと、タイトルが内容に少々マッチしていないことでしょうか?

面白かったぁ! 「スキップ」 「ターン」と併せてお薦めの作品です。
なお3作にストーリー上のつながりはありません。

北村薫_『謎物語 あるいは物語の謎』

読書リスト(4)に「北村薫_謎物語 あるいは物語の謎」を追加しました。

物語や謎を感じる力は、神が人間だけに与えてくれた大切な宝物。名探偵も、しゃべるウサギも、実は同じものなのかもしれない―博覧強記で知られる著者が、ミステリ、落語、手品など、読者とその周辺のことどもについて語り起こした初めてのエッセイ。

裏表紙より

北村薫は好きな作家です。特にSFチックな「時と人 三部作」が好きです。女性作家と思われたりもする細やかな描写が私の好みにあっています。

作者は『円紫さん』シリーズや『覆面作家』シリーズなど「日常の謎」をテーマにした本格ミステリも書いています。
このエッセイも本格ミステリへの愛で溢れています。

私は本格ミステリをあまり読まないので内容についてはちょっと理解し難い部分もありました。それでもなんとなくわかったような気になって読み進めることができる軽妙な語り口は見事です。本格好きの方にはきっとたまらないと思います。ただし、小説の本文を引用したり、ネタバレをしたりしているので少々注意が必要かもしれません。


「時と人 三部作」の最新作「リセット」を読んでないことに気が付きました。読まなければ(^_^;)
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