西田賢司_『わっ! ヘンな虫~探検昆虫学者の珍虫ファイル』

著者はしょこたんのラジオ番組にもゲスト出演したコスタリカ在住の「探検昆虫学者」です。タイトルどおりヘンな虫の写真が豊富に掲載されています。何かに擬態しているもの、非常に派手な色のもの、などなど… どんなヘンな虫かは著者のWeb連載でも見ることができます。紹介される虫の生態の中ではさまざまな虫に寄生するさまざまな「寄生バチ」が特に興味深いです。昆虫学者の活動も綴られますが忍耐を強いられる地味な部分が多くてとても大変そうです。「本当に好きじゃなきゃできないな~」と思いました。
     
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中山七里_『さよならドビュッシー』

『火事で瀕死の重傷を負った少女が後遺症に苦しみながらピアノの猛レッスンを重ねコンクールに挑む。そこに祖父の遺産絡みの不審な出来事が…』 
不審な出来事は途中からさっぱり起こらなくなりピアノに賭ける少女の熱意を描くスポ根ものの様相を呈します。演奏の描写はややくどいもののイメージを掻き立てられますし、少女の真摯な態度は尊敬に値するほどです。これはこれで面白いのですが…ここまでの展開を吹き飛ばす結末は結構酷く(ホメコトバ)てアッと驚きました。こういうのに耐性のない人は要注意ですね~(笑)
     

以下ネタバレ感想(反転文字)です。
「就寝時の遊び」が何か絡むとは思っていましたが…


貫井徳郎_『愚行録』

ええ、はい。あの事件のことでしょ?―幸せを絵に描いたような家族に、突如として訪れた悲劇。深夜、家に忍び込んだ何者かによって、一家四人が惨殺された。隣人、友人らが語る数多のエピソードを通して浮かび上がる、「事件」と「被害者」。理想の家族に見えた彼らは、一体なぜ殺されたのか。

裏表紙より
タイトル通り被害者と周辺の人々の愚行の記録です。インタビューの記録と意味不明なモノローグの繰り返しで構成されています。愚行とは言っても必ずしも悪行とは言えないレベルのもので私たちも日常生活で無意識に、あるいは意識的にやっているようなものです。もっとも被害者のように上流階級(?)でも野心家でもない私にはぼんやりと「違う世界の話」としか受け取れませんでしたが。。。

殺人事件が題材なのにもかかわらず終盤になってもさっぱり事件の全貌が明らかになりません。「あれっ、もう残りページないぞ」というところで明かされる真実はちょっと意外なものです。これをやるためにインタビューの記録が延々と繰り返されたんだ。。。と納得です。インタビューに答えること自体が愚行であり、そして結果的に文字通り愚行であったということでしょうか。

西澤保彦_『七回死んだ男』

「西澤保彦_七回死んだ男」(A)を読了しました。
幾度も繰り返される殺人。殺されるのはいつも渕上零治郎!? それは、現実の出来事!! だが、それを認識できるのは孫の久太郎だけ。時間の“反復落とし穴”に嵌まり込んだ久太郎が、祖父の命を救うべき孤軍奮闘するが…。 

裏表紙より
「007は二度死ぬ」の連想からかハードボイルド調の話だと思い込んでいましたが(笑)実際は相続絡みの本格推理でした。本格推理とはいえ、主人公だけが同じ1日を9回繰り返す「反復落とし穴」の存在というSF設定がこの小説の根本となっています。

SF好きからするとこの設定自体も疑いたくなるところですが(関係者は親族なのだから他に同様の能力を持つ人がいてもおかしくない、とか)、そこはお約束として目をつぶることにします。また、この親族の関係、被害者の言動、などなどはかなり不自然でいかにも本格推理という感じです。こういうところは不慣れな私にはちょっと引っかかってしまうところです。

殺されてしまう祖父を孫である主人公がなんとか救おうと奮闘する様子が描かれます。何度も繰り返す一日のうちに浮き彫りになる人間模様がなんともコミカルです。繰り返される殺人や、親族間の決定的な対立、という深刻な事態にも関わらず「まだ、やり直しが利く」という事が救いになっています。何度やっても祖父が殺されてしまいバタバタする様子は結構笑えます。

最後にはちゃんと全容が語られます。いくつかの意外な事実が明かされるのですが、腑に落ちなかった点がスッキリと片付いていて見事です。ちょっと突っ込みたい部分もありますけどね(笑) 意外な事実についてはこの下に反転文字でメモしておきます。
・主人公が一周目だと思っていた日は反復落とし穴には入っていなかった。二周目だと思っていた日が実は一周目だった。→「日付がわからないのは不自然、テレビとか見ないの?」と突っ込んでおきます(笑)
・そもそも殺人事件など起きていなかった。
・主人公がこの反復の中で一回死んでいる。
時間ループもののSFは大好物なのですが、この作品は時間ループを本格推理に上手く取り入れて全く違った趣に仕上げています。面白かった~、お勧めです♪

*中井拓志_『レフトハンド』

http://a248.e.akamai.net/f/248/37952/1h/image.shopping.yahoo.co.jp/i/j/7andy_30475260
「中井拓志_レフトハンド」(A)を再読しました。
1998/6/24に読了した作品。
製薬会社テルンジャパン埼玉研究所でバイオハザードが発生した。漏れ出したのはレフトハンドウィルス。最終的に左腕が抜け落ち患者を死に至らしめる殺人ウィルスである。研究所は厳重に封鎖され、出入りするのには宇宙服のような装備が必要である。感染してしまった研究員は一時しのぎの対策をした上で研究を続行する。
第4回日本ホラー小説大賞(1997年)の長編賞を受賞したトンデモホラーです。この時の大賞があの「黒い家」なのであまり話題にならなかったのでしょうが、私的にはなかなかの傑作だと思います。

どこがトンデモかというと、心臓を癒着して抜け落ちた左腕がそこらを走り回るんです。独自の視覚、聴覚を持ち、元の宿主の体を食料とし、音で興奮し、光を嫌う習性があります。その描写はおぞましくも可愛らしいものです。
ちょっとグロテスクなので読者を選ぶかもしれませんが(笑)

医学的な用語で煙幕を張るなど、基本的なフォーマットは一般的なバイオハザードものに則っていますが決定的な違いがあります。それは問題を解決しようとする正義の味方がいないことです。主人公(?)の厚生省学術調査員の津川が求めるのはこのウィルスの研究チームのリーダーになることですし、その上司は管轄を公安など他の省庁に移したくて仕方ありません。会社側は研究主任の影山に責任を押しつけようとしますし、感染している影山はウィルスをばら撒くと脅して人体実験のモデルの提供を求めます。その他にも好奇心で首を突っ込む女性研究員や、虚言癖のある女子高生などが登場します。普通に言う「魅力的な」登場人物は出てきませんが、リアルなわがまま加減が私にはなかなか魅力的に思えます。唯一、終盤に出てくる隊長(姓名不明)は良い奴だと思いました。

10年以上前に読んだので上に書いたあらすじ程度しか覚えていず、展開とかオチはほぼ完全に忘れていたので初読のように楽しめました。

『中島らもの明るい悩み相談室』

「中島らもの明るい悩み相談室」を読了しました。→読書リスト

「葬式で、つい笑ってしまう私」「飼い犬のごはんをのぞく隣人」「他人の前世が気になる」「会議で『ポンポコリン』と叫ぶ夫の将来は」―。世の中のありとあらゆる悩みに救世主が現れた。鬼才・中島らもが明るく答える、朝日新聞のスーパーヒット連載。選りすぐりの珍問を集めた、待望のシリーズ第1弾。

「ガダラの豚」の記事に「面白いですよ♪」というコメントをいただいたので読んでみました。

あとがきに「ふざけるなっ!という投書があったけどふざけているんだからしようがない」と書いてあるとおり100%ふざけています。回答だけではなく相談もふざけています。相談も作者が考えた「やらせ」かもと思いましたが、
あとがきでそれは明確に否定されています。相談者も「どれだけ面白い相談を思いつくか」苦心したのでしょうね。
まさか真剣に相談する人がいるとは思えません(笑)

乗りとしては深夜ラジオの投稿コーナーって感じでしょうか?これを新聞紙上でやってしまうとは「朝日もなかなかやるな!」と思いました。できればリアルタイムで読みたかったものです。

作者本人のほか、内田春菊、根本敬、ひさうちみちお、みうらじゅん、によるイラストも結構面白いです。
本文の内容と微妙にずれているのも狙いなのでしょうか?

*中島らも_『ガダラの豚』

私が好きな本!に「中島らも_ガダラの豚」を追加しました。
1997/8/31に読了した作品

いじめられ役として人気のタレント教授大生部が主人公。8年前に娘を事故で亡くして以来、彼はアル中になり、彼の妻は神経を病んでしまっていた。新興宗教にのめり込んだ妻を救うために大生部はテレビ番組で知り合った奇術師ミスターミラクルと共に奪還を企てるが…

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3巻で構成されていてそれぞれまとまった内容になっています。
Ⅰは日本で新興宗教との対決、Ⅱでは舞台をアフリカに移し、Ⅲでは再び日本に戻ります。

Ⅰのインチキ宗教との対決編では様々な騙しのテクニックが紹介されます。
特にミスターミラクルが明らかにした透視のトリックは「なるほど」と思いました。

Ⅱのアフリカ編ではアフリカの様子が生き生きと描写されています。
作者が実際に行ったアフリカ旅行の体験にインスパイアされてこの小説を書いたのでしょう。
アフリカの呪術が重要なファクターになっていますが、現実に当地では今でも実効性があるのでしょうか?
そこが興味深い点です。

Ⅲは締めということでなかなか激しい展開です。
結構スプラッタで「ええっ~、この人が!」という場面が続きます。最後の対決に決着をつけるのは…

大生部教授のキャラクターが非常に魅力的です。共演者にいじめられて笑いをとる、重度のアル中、コミカルな外観、などちょっと情けないのですが、タレント活動は研究費用の捻出のためという学者の鑑だったりします。
そして実は…

登場人物は実在の人物のパロディのような感じになっています。
大生部教授=大槻教授、ミスターミラクル=ミスターマリック、超能力者の清川慎二=清田益章
などと勝手に関連付けて読みました。

とにかく色々な内容を盛り込んだエンターテインメントで読み応え十分です。
中島らも氏はエッセイや、私小説のようなものをたくさん書いていますが、フィクションはあまりないようです。
「人体模型の夜」「永遠も半ばを過ぎて」「白いメリーさん」は読みました。他にもご存知でしたら教えてください。
氏が亡くなったのは非常に残念でした。

中井拓志_『アリス』

読書リスト(4)に「中井拓志_アリス」を追加しました。

7年前に大学医学部の研究棟で起きた「瞭命館パニック」_17人が死亡、51人が人格荒廃というこの惨劇の原因は「氷室アリス」という一人の少女であった。アリスは彼女のために作られた特別な施設で厳重に監視、隔離されていたが…

平たく言うと「少女の超能力が暴走するパニック小説」です。ただ、この超能力(?)がなかなか斬新です。
PKでもESPでもありません。アリスのサヴァン能力と絡めて徐々に正体が明かされていきます。

脳についての科学知識(らしきもの?)にすっかり煙に巻かれました。煙に巻かれるのって結構好きです(笑)
こういう科学知識も全くデタラメって訳にもいきませんから(本当に正確な必要は無いですがw)「作家は勉強が大変だなぁ」と思いました。

パニック(というか現象)の伝播の描写が気に入っています。壮絶だけど意外と地味。
この地味さに「わびさび」を感じます(笑)

ラストが意外と収束してしまったのが残念でした。もうひと騒動期待していたのですが…

中井拓志氏の作品は以前「レフトハンド」を読みました。これは文字通り「左手」が主役のトンデモ本です。
これも大変面白かったのですが「アリス」は意外と正統派でSFに近い作品でした。
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