和田竜_『小太郎の左腕』

戦国時代の少年凄腕狙撃手「小太郎」をめぐる話です。主人公「半右衛門」はとある戦国大名配下の武将で、強く、情に厚く、正義感が強く、などなどステレオタイプとも言えますが戦国時代のこと冷酷な面も備えていたりして、なかなか魅力的です。この半右衛門が小太郎にする仕打ちが酷い…ところが特に気に入りました(笑) 小太郎や敵方の忍者の能力はちょっと現実味を欠きますが、この時代の武将同士や武将と村人の関係、戦のあり方などいろいろ新鮮でとても楽しめました。



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連城三紀彦_『黄昏のベルリン』

『画家の青木は自分の出自について驚きの事実を知らされパリ、ベルリンへ向かう。そこで待っていたものは…』
強制収容所にいた元SS将校の女、東ベルリンから脱出する高官、曰くありげなユダヤ人保護組織…青木の出自が焦点なのですが、その正体はベタではありますがなかなか大胆です。いろいろ遺伝で説明してしまうのはやりすぎですし、謎の美女エルザの圧倒的な吸引力(?)はちょっと不自然ではあります。とは言え、色々な道具立てで構成された物語は面白く、組織の正体(曰くありげではありましたが)は意外でした。
     

若竹七海_『古書店アゼリアの死体』

『不幸のどん底にいた相沢真琴は、葉崎市の海岸で溺死体に出合ってしまう。』
コージー・ミステリという事で「古書店主の老婦人が安楽椅子探偵で…」くらいに考えていたら全然違いました(^^;) キャラ描写がユニークなので軽く読めるのですが、テーマが「地元の名家での骨肉の争い」なので意外と重い。。。ただ、中盤の○○盗み出し作戦は爆笑ものですし、続く主要キャラ殺害(私はこの人が殺されるとは思ってもいなかった)から事態は急展開します。謎解きは登場人物の多さも相まって少々複雑で正直ピンときませんでした(^^;)
 

隆慶一郎_『見知らぬ海へ』

「隆慶一郎_見知らぬ海へ」(A-)を読了しました。→読書リスト
戦国末期、好きな釣りに出ている時、城が敵の攻撃を受け、父と兄を失った男がいた。魚釣り侍と揶揄された向井正綱だが、遺志を受け継ぎ、北条水軍との駿河湾決戦で向井水軍の長として頭角を現していく。迫力溢れる戦闘場面、戦乱の世での父と子の生き様、徳川家康をも唸らせた、海の武将を描く歴史小説。

裏表紙より
ちょっと不得手な歴史ものってことで長らく積んであったのですが図書館に行けなくて読むものが無くなってしまったので読んでみることにしました。思いがけず(笑)面白くてあっという間に読み終えてしまいました。

主人公の正綱がなかなか魅力的です。出だしから釣りに出ている間に城を落されたかと思えば、その後も日がな釣りに出ているという体たらく。しかし実は決死の奇襲作戦のための訓練を積んでいたりします。また詐術を使い勝利を手にした上役には実力で捕虜の処刑をやめさせたり、漁師を戦いに巻き込もうとする敵には容赦しなかったり男気をみせます。一方、決死の戦いの最中に新妻の事を想ったり、息子の成長を喜んだり、良き夫、良き父としての側面も描かれます。

この小説の最大の魅力はなんといっても海戦シーンです。闇にまぎれて小舟で敵の安宅船にかける決死の攻撃、砲術を究めて敵の度肝を抜くような遠距離砲撃、最終的に勝負を決める船上の肉弾戦、などなど迫力満点です。さすがに私もこの時代の兵器については良く知らないのですが、安宅船、関船などの軍船、大砲、大鉄砲などの火器、などなどのことを知りたくなりました。文章だけでゃなかなかイメージしにくい部分もあるので時代物のマンガを読もうかと思っています。

私は日本史には疎いので歴史の中で主人公がどういう位置を占めるのかがいま一つピンとこないのが無念です。武田、北条、豊臣、徳川など、超有名な大名の名前くらいは知っているという程度なのです。時代背景の基礎的な知識があればより楽しめるはずですね~(^_^;)

タイトルは「見知らぬ海へ」ですがここまででは主人公にとっての見知らぬ海は出て来ません。作者の急逝によってこれから見知らぬ海へってとこで未完となったようです。このあとは迫力の海戦はなさそうですが面白くなりそうなところなので残念です。

隆慶一郎氏の作品は初めて読みましたが、史実から(たぶん)大きく逸れていないのにエンターテインメントに優れた痛快な読み物でした。この調子なら不得手な歴史ものも読めそうです。他の作品も読んでみようと思います。

表紙絵はこちら(Amazon.co.jp)

渡辺容子_『流さるる石のごとく』

読書リストに「渡辺容子_流さるる石のごとく」を追加しました。

「速水圓」は大富豪のひとり娘でエリート医師の妻でありながらアルコール依存症で万引きの常習犯。
夫のことを愛してはいたが夫婦仲は上手くいっていなかった。ある日、自宅に「ご主人を誘拐しました」
と脅迫電話が入る。犯人の奇妙な指示に従い圓は奔走する。

実は、この本は書庫「国内作品 ラ ワ」に記事がひとつもなく寂しいので「なんでも良いから」と読み始めました。渡辺容子氏の作品は江戸川乱歩賞受賞作の「左手に告げるなかれ」などを読んだことがあったのですが、
どうも私にはいまひとつピンと来ませんでした。そのため、あまり期待をしていませんでした。

期待を裏切られました!ジェットコースター的なサスペンスです。最後までハラハラしました。

主人公が個性的です。何不自由ない生活を送りながら、酒、犯罪に走る圓にはあまり共感できません。
まぁ、その理由は後々明らかにされますが…_私は堕落した人間は好きなので楽しく読み進みました(笑)

誘拐事件のトリックがなかなかでした。犯人からの奇妙な指示の理由が納得できるように説明されています。
しかし、このトリックが明らかになるのは全体の半分ぐらいのところなのでまだまだこれからなのです。

私はいわゆる「本格」というやつはあまり読みません。トリックやら伏線やらをちゃんと理解するように注意深く読むのが苦手なのです。しかし、この作品ではそれらの要素がわかりやすく配列されていて私のような迂闊な人間にも本格っぽい楽しさを味合わせてくれます。しかも細かいトリックと種明かしが随所に配置されているので飽きることがありませんでした。その分、やや「トンデモ」になっていますが、それはそれで好きなので(笑)

ノンフィクションっぽい書き出しですが、なにしろ「ややトンデモ」なのでちょっとありえない気がします。
もし、元ネタとなる事件をご存知の方がいらっしゃったら教えてください。
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