泉麻人_『東京自転車日記』

「泉麻人_東京自転車日記」を読了しました。→読書リスト

川沿いに延びる、気持ちよさそうなサイクリングロードに惹かれて買ったマウンテンバイク。しかし、颯爽と銀輪を駆って風とひとつに…なるわけがなく、買物カゴをくっつけて車輪の向くまま行きあたりばったり。「ヤキイモ屋の基地」を発見したり、あるときはプレミアムモノの蝶を採集したり―ちょっと目を離したすきに姿を変えていく町の一瞬の風景を映した「平成東京風土記」。

裏表紙より

雑誌「シンラ」に連載されたものに「なぎら健壱さんと行くディープな濹東自転車紀行」を追加してあります。
主に作者の自宅の杉並区成田西をベースにして自転車でうろうろした(笑)様子を写真を交えて紹介しています。

作者独特のマニアックな視点は健在でその興味の対象は、ちょっと古い建物、乗り物、昆虫、などなど大変多岐にわたります。普通だったら見逃してしまうような風景の中から面白いものを探しだす技はさすがです。
機動力がありながら非常に融通の利く自転車という乗り物の特性を存分に活かしていると感じました。
ただし、なぎら健壱氏との絡みではさすがの作者もマニアっぷりで負けていましたね~(笑)

電車で目的地まで行ってそこからレンタサイクルで探訪というパターンもあります。そういう場合は大体亀戸や柴又などの下町がターゲットになっています。そんな中で「戦車道路」は町田市の私の実家のすぐ近くです。
子供の頃たまにサイクリングに出かけた場所なので「おぉっ」と思いました。

私も主要交通手段は自転車です。交通費の節約と運動不足の解消が主目的なのですが、今は花粉の飛翔時期なのですっかりほこりを被っています。この本を読んで自転車で出かけたくなりました。花粉の季節が終わったら愛車をバッチリ整備して出動しようと思っています。
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F・ポール・ウィルスン_『マンハッタンの戦慄』

「F・ポール・ウィルスン_マンハッタンの戦慄」を読了しました。→読書リスト

非合法の保安コンサルタント〈始末屋〉を営む「ジャック」はインドの外交官「クサム」から祖母が暴漢に奪われたネックレスの捜索を依頼される。一方でジャックはガールフレンド「ジーア」の失踪した叔母の捜索も依頼されていた。2つの事件には実は密接なつながりがあり…

「黒い風」が面白かったので作者の代表作〈始末屋〉ジャック シリーズを読むことにしました。

前半の展開はなかなかミステリーチックです。仕掛けを考えながら読むのは楽しいものです。あまり複雑な仕掛けは頭が混乱しますが、この作品では適度に種明かしをしながら進むのでわかりやすいのも嬉しいところです。

主人公のジャックは始末屋という設定からもっとハードボイルドなキャラクターを想像していたのですが(金のためならなんでもやる みたいな)人間的な魅力のあふれる人物でした。ジーアや娘の「ヴィッキー」、自分の父親、友人の「エイブ」などと接する様は始末屋などという際どい仕事をしている様には思えません。正義感が強く悪を許せない、それゆえ暴力的な手段をとるというスタンスです。こういうところは「黒い風」の「松男」と似ています。

なんといっても本作の主役は「ラコシ」です。下巻の表紙に描かれている怪物ですが、かなりにおいがきついらしいです(笑) 私はTVゲームのバイオハザードシリーズに出てくるモンスターの「ハンター」を連想しました。
もっともハンターは銃で倒せますが(^_^;)

第八章まではそれなりに良く出来たホラーだと思っていましたが、最終の第九章に入ってからは激動の展開、
完全に飲み込まれました。第九章だけで下巻の半分を占めるのですが一気に読んでしまいました。

クサムと妹の「コラバティ」の秘密にはなかなか意表を衝かれました。ネックレスにあんな力があるとは思いませんでした。注意深く読めば序盤に伏線があったのですが、私は違う力があると考えていました。

エンディングが少々後味の悪いものになっています。こういう終わり方も私は好きです。
まぁ、シリーズは続いているのでどうにかなったのでしょうが。

ひとつだけ残念だった点は「黒い風」で炸裂していたトンデモ度が影を潜めていることです。
たぶんインドの方が読めばたくさんあるのでしょうが、ちょっと寂しく思いました。
正統なホラー系エンターテインメントとしては全く欠点ではありませんが(笑)



「おまけ」
ジャックが使用する銃について気になったのでちょっと調べてみました。
①セマリング(セマーリン)
ジャックが踝のホルスターに携帯する大口径でありながらコンパクトな拳銃です。
セマーリン モデルLM-4
②ルガー
私はルガーというとドイツの軍用拳銃ルガーP08を思い出しますが、ジャック愛用のルガーはまったく別の
アメリカのスターム・ルガーというメーカーの銃のようです。ラコシには効きません(^_^;)
ウィキペディア スターム・ルガー

大田垣晴子_『サンサル①』

読書リストに「大田垣晴子_サンサル①」を追加しました。

自称「画文家」大田垣晴子氏が雑誌「話の特集」に1992年7月より2年半連載したイラストとエッセイを融合させた画文「サンサル」をまとめたものの2巻のうちの1巻。
本人曰く「わたしの我田引水、本末転倒、無知滑稽な日々を書き綴った」もの。

雑誌内雑誌の体裁をとっていて、表紙、目次、7つくらいの話題、特集、という構成になっています。
親しみの持てるイラストと手書き文字のエッセイの組み合わせで漫画感覚に読めます。
作者のホームページ( http://www5b.biglobe.ne.jp/~sansaru/ )を見ればその雰囲気がわかると思います。

連載された期間が15年ほど前なので懐かしいと感じる話題が多くなっています。
話題は、テトリス、病院の待ち合わせ室、エコロジー、などなどその時の気分でほとんど無秩序です。
特集では街中の様子を調査してイラスト付きでまとめています。対象は、公園、銭湯、ヘアスタイル、
干してある洗濯物、などなど。こういう調査は考古学ならぬ考現学と言われるそうです。

連載当時、作者は23才位のはずなのでそれにしてはちょっと若者らしからぬ視点が多いような気もします。
ま、それが私が今読んでも楽しめるポイントなのかもしれません(笑)

ブック○フの100円コーナーで何気なく手にしたのですがこれは拾い物でした。
他にも多くの作品があるようなので今後も読もうと思います。

*中島らも_『ガダラの豚』

私が好きな本!に「中島らも_ガダラの豚」を追加しました。
1997/8/31に読了した作品

いじめられ役として人気のタレント教授大生部が主人公。8年前に娘を事故で亡くして以来、彼はアル中になり、彼の妻は神経を病んでしまっていた。新興宗教にのめり込んだ妻を救うために大生部はテレビ番組で知り合った奇術師ミスターミラクルと共に奪還を企てるが…

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3巻で構成されていてそれぞれまとまった内容になっています。
Ⅰは日本で新興宗教との対決、Ⅱでは舞台をアフリカに移し、Ⅲでは再び日本に戻ります。

Ⅰのインチキ宗教との対決編では様々な騙しのテクニックが紹介されます。
特にミスターミラクルが明らかにした透視のトリックは「なるほど」と思いました。

Ⅱのアフリカ編ではアフリカの様子が生き生きと描写されています。
作者が実際に行ったアフリカ旅行の体験にインスパイアされてこの小説を書いたのでしょう。
アフリカの呪術が重要なファクターになっていますが、現実に当地では今でも実効性があるのでしょうか?
そこが興味深い点です。

Ⅲは締めということでなかなか激しい展開です。
結構スプラッタで「ええっ~、この人が!」という場面が続きます。最後の対決に決着をつけるのは…

大生部教授のキャラクターが非常に魅力的です。共演者にいじめられて笑いをとる、重度のアル中、コミカルな外観、などちょっと情けないのですが、タレント活動は研究費用の捻出のためという学者の鑑だったりします。
そして実は…

登場人物は実在の人物のパロディのような感じになっています。
大生部教授=大槻教授、ミスターミラクル=ミスターマリック、超能力者の清川慎二=清田益章
などと勝手に関連付けて読みました。

とにかく色々な内容を盛り込んだエンターテインメントで読み応え十分です。
中島らも氏はエッセイや、私小説のようなものをたくさん書いていますが、フィクションはあまりないようです。
「人体模型の夜」「永遠も半ばを過ぎて」「白いメリーさん」は読みました。他にもご存知でしたら教えてください。
氏が亡くなったのは非常に残念でした。

星新一_『未来いそっぷ』

読書リストに「星新一_未来いそっぷ」を追加しました。

〈アリとキリギリス〉〈ウサギとカメ〉など、誰でもごぞんじの寓話の世界。語りつがれてきた寓話も、星新一の手にかかると、ビックリ驚く大革命。時代が変れば話も変るとはいえ、古典的な物語をこんなふうに改作してしまっていいものかどうか、ちょっぴり気になりますが―。
表題作など、愉しい笑いと痛烈な風刺で別世界へご案内するショート・ショート33編。

裏表紙より

銀行の待ち時間のひまつぶしに近くの図書館で「無難な本を」ということで借りて読みました。
星新一氏のショートショートは中学生ぐらいの頃たくさん読みましたが、ずいぶん久しぶりでした。
亡くなってから10年以上経つんですね…

本の題名になっているイソップ物語の改作は妙に教訓めいていてあまり面白くありませんでした。
イソップ物語自体が教訓を含むものなので仕方ないのかもしれませんね~

普通のSFテイストのショートショートはそれなりに面白いです。ただし、昔読んだときは感受性も豊かで素直だったので無条件に楽しめたのですが、今回はそこまでの面白さは感じませんでした。年をとるのは嫌ですね(笑)

未来を描く作品では作中で示される皮肉な結末が今では現実味を帯びていてちょっと笑えない部分があったりもします。出版当時は「そんなバカな」と笑えたんでしょうが… 作者の先見の明を証明しているとも言えるかもしれません。

私が気に入ったのは以下の4編。なかなか鋭い切れ味を感じました。

・「ある商品」
ゲム星人は若返りの薬を地球に無償で提供した。その目的とは…
・「新しい症状」
その病院では診察、治療にコンピューターが活躍していた。新しく入院した男の持病とは…
・「やさしい人柄」
その刑務所の所長は死刑囚に対して心のこもった対応をしていた。やがて凶悪な死刑囚も心を開き…
・「価値検査器」
価値検査器を使えば何でもその価値が一瞬のうちにわかる。この装置を使ってエヌ氏は成功を収めるが…

SFマガジン 2006-4

創刊600号記念特大号

【特集内容】
○'06オールタイム・ベストSF結果発表
○第1回日本SF評論賞決定
[日本作家競作]
・ジャムになった男 戦闘妖精・雪風第3部 神林長平
・変転 星界の断章 森岡浩之
・天つ風 博物館惑星・余話 菅浩江
・カメリ、テレビに出る 北野勇作
・大風呂敷と蜘蛛の糸 野尻抱介
・クローゼット 廃園の天使 飛浩隆
[海外作家ノヴェラ競作]
・ひいらぎ飾ろう@クリスマス コニー・ウィリス/大森望訳
・1873年のテレビドラマ R・A・ラファティ/浅倉久志訳
・オールモスト・ホーム テリー・ビッスン/中村融訳
・グラス・フラワー ジョージ・R・R.マーティン/酒井昭伸訳
・プランク・ダイヴ グレッグ・イーガン/山岸頁訳

【連載】
・小角の城 第2回 夢枕獏
・罪火大戦ジャン・ゴーレ 第15回 田中啓文
・熊野忍び衆 霊峰の門 第5話 谷甲州

表紙イラスト:岩郷重力

SFマガジン 2006-3をパラ読みしました。
連載小説《小角の城》夢枕獏 第3話の掲載号です。

この号は「創刊600号記念特大号」ということでとにかく分厚い。
オールタイム・ベストSF結果発表、多くの読みきり小説、とボリュームたっぷりでした。

【オールタイム・ベストSF】
国内長篇部門、海外長篇部門のベスト10の20作品のうちで読んだことがあるのは6作品でした。
ベスト10ぐらいは押さえておきたいところですが…また読みたい本リストが伸びてしまいます(笑)

以下ベスト3を抜粋します。

国内長篇部門
1.『百億の昼と千億の夜』光瀬龍
2.『果てしなき流れの果てに』小松左京
3.『妖星伝』半村良

国内短篇部門
1.「おーいでてこーい」星新一
2.「象られたカ」飛浩隆
3.「ゴルディアスの結び目」小松左京

海外長篇部門
1.『ソラリス』『ソラリスの陽のもとに』スタニスワフ・レム
2.『幼年期の終り』アーサー・C・クラーク
3.『夏への扉』ロバート・A・ハインライン

海外短篇部門
1.「しあわせの理由」グレッグ・イーガン
2.「あなたの人生の物語」テッド・チャン
3.「フェッセンデンの字宙」エドモンド・ハミルトン

【読みきり小説】
中篇の読みきり小説が多数掲載されています。私の好みの問題でしょうが、楽しめるもの、雰囲気は良いが難しいもの、ちょっと付いていけないもの、など色々ありました。
学生が主役のハードSFテイスト『大風呂敷と蜘蛛の糸』と、少年が主役のファンタジー『オールモスト・ホーム』は楽しめました。『プランク・ダイヴ』はハードすぎて途中で寝てしまいました(笑)

【連載小説】
「小角の城」第3話
真田幸村が登場し、茶人の古田織部に摩訶不思議な双子壺を見せられます。


2008/3/21追記
以前読んだ2006-5を再度借りて「小角の城」第4話を読みました。
双子壺の話の続きです。
第三の壺が存在し、その壺は粗末な小屋に住むとんび爺が持っていることが語られます。
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