千石正一_『最後のゾウガメを探しに』

「千石正一_最後のゾウガメを探しに」を読了しました。→読書リスト
ガラパゴス、フロリダ、ニュージーランド、インド、マダガスカル、パラグァイ―。
それぞれの場所で出会ったヘビやトカゲ、サルなどの珍奇で希少な動物たち。
彼らの知られざる生態や豊かな自然を語る、地球への愛情あふれる紀行エッセイ。

裏表紙より
テレビ番組「どうぶつ奇想天外!」でおなじみの動物学者 千石正一氏がフィールドワークの様子を書き記します。

著者は学者であって物書きではないので文章はあまり読みやすくはありません。スキンク、アガマなどなど専門用語(いずれもトカゲの科の名称)も説明なしに登場し読者は置き去りにされることもあります。しかし、そんな学者バカっぽいところが却って動物たちへの熱い愛情が感じられ好感が持てます。大自然の中でのフィールドワークはなかなか過酷で、ヒルに悩まされたり、ヘビやトカゲを手づかみで捕まえたり、著者の容貌からはちょっと想像し難い野性的な面も垣間見えます。

いろいろな動物の面白い生態が紹介されていきますが、著者の専門である爬虫類が中心となります。私は昔からヘビがちょっと好きなのですが、ヘビには音が聞こえないというのは初めて知りました。ヘビ使いの笛でコブラが踊るのはコブラの動きに人が合わせているようです。その他、カメレオンの体色は別に保護色じゃない、世界最長のヘビの長さは10mで意外と短い、などなど意外な知識が披露されています。

フィールドワークの舞台になっているのはいずれも非常に豊かな自然が残されている地域なのですが、それでも大量絶滅は進行しています。著者もこの点を大いに嘆いています。この手の本を読むといつも思うのですが、動物としてのヒトの必要を大きく超える人間の様々な所業をそろそろ見直す必要がありそうです。
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原田宗典_『あるべき場所』

「原田宗典_あるべき場所」を読了しました。→読書リスト
横断歩道に落ちていたミョウガ、消えたカミソリの刃、失われた指先、かんぬきを掛ける男。
何でもない日常の事物にふと目をとめると、そこから世界は変容し始める。
そんな違和感を描いた表題作「あるべき場所」。
友人がタイから持ち帰ったいわくつきのナイフ。それを手にした者は誰を殺すのか。
人間の心理に潜む恐怖をえぐる「飢えたナイフ」など、奇妙な味わいの5編を収めた短編集。

裏表紙より
原田宗典氏のエッセイは最近お気に入りなのですが、本業の小説をあまり読んだことがないので
「1冊ぐらいは」と思い手に取りました。

5編のうち前半の3編は作者自身が経験を語る体裁のエッセイ風小説です。エッセイのようなおちゃらけた感じはありませんがそこはかとないユーモアを感じさせる調子で綴られます。学生時代のバイトの話や、自身の子供が生まれた時のこと、現在の仕事場の様子などが物語の背景として描かれています。切ない事情を抱えた人と偶然関わったり、街中で不思議な情景に出くわしたります。そして、いつもどおり作者は困惑します(笑)
実話にしては出来すぎているので創作だと思いますが、いかにもありそうな話ではあります。

後半2編はサスペンスタッチのホラーです。
両方とも割合ありふれたテーマ(不倫、呪われたナイフ)ですが読み終わってからゾッとする仕上がりです。

小説もなかなか面白いですね~
エッセイとは一味も二味も違いますが、その独特な雰囲気は共通するものを感じました。

「収録作品」
・空室なし
・北へ帰る
・あるべき場所
・何事もない浜辺
・飢えたナイフ


SFマガジン 2007-6

異色作家特集2

新装版《異色作家短篇集》の完結を記念して贈る、異色作家特集の第2弾。5月号の「英米篇」に続けて、本号では「非英語圏」の作家を特集する。ロシア、メキシコ、中国の3カ国の作品を訳載。《異色作家短編集》全作品レビュウを併せて掲載する。
[特集内容]
○「パリに行きたい」 ミハイル・ヴェレル
○「沈黙のすみれ」 ヴァジム・シェフネル
○「秘密」 ロベルト・ロペス・モレーノ
○「カルメン」 夏笳
○《異色作家短篇集》全作品レビュウ2 石堂藍/鈴木力/中藤龍一郎/牧眞司

【連載】
「小角の城 第11回」 夢枕獏
「イリュミナシオン 君よ、非情の河を下れ 第10回」 山田正紀
「罪火大戦ジャン・ゴーレ 第二十九回」 田中啓文
SF Magazine Gallery 「Medium rare」 森ヒカリ

第2回日本SF評論賞優秀賞受賞作「グレッグ・イーガンとスパイラル・ダンスを」 海老原豊

表紙イラスト:木村晴美
ハヤカワ・オンライン→http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/720706.html

SFマガジン 2007-6をパラ読みしました。
連載小説《小角の城》夢枕獏 第11話の掲載号です。

【読みきり小説】
異色作家特集では、しゃべることができないヴァーリャと結婚したセルゲイを襲う悲劇を描いた「沈黙のすみれ」が面白かったです。皮肉の効いたタイトルで、私はセルゲイに同情しました。
いずれの作品もSF色は薄く、ちょっと物足りない気もします。

【連載小説】
「小角の城」第11話
幸村と佐助は襲ってきた忍びの者をなんとか倒す。佐助は小角の城の探索を引き受けることにした。
服部半蔵のところに第1話で謎の坊主(玄嵬?)の手に落ちたはずの伊蔵が呼び出される。
妖術使いの玄嵬と果心居士。玄嵬は真田に、果心居士は徳川に味方するという図式なのだろうか?

【そのほかの記事】
エッセイ「椎名誠のニュートラルコーナー」はアマゾンがテーマ。アマゾンに棲んでいる驚くべき生き物が紹介されています。肉食ドジョウのカンジェロは人間の尿道や肛門から体内に侵入し内臓を食いちぎるということです。
アマゾンには恐ろしいものが棲んでいるのね~(^_^;)

【気になった本】
紹介された本で気になったものを以下にメモしておきます。
・最相葉月/星新一 一〇〇一話をつくった人
・ニール・ゲイマン、テリー・ブラチェット/グッド・オーメンズ
・北野勇作/恐怖記録器
・忌憶/小林泰三
・荒俣宏/帝都幻談

原田宗典_『東京トホホ本舗』

「原田宗典_東京トホホ本舗」を読了しました。→読書リスト
雨が降っては困惑し、犬が鳴いては困惑し、久米宏の髪型ヘンだわヘンだわといっては困惑し、原稿料が安いといっては困惑し…ともあれ何が何でも困っちゃう筋金入りトホホニスト・ハラダムネノリが積年の困惑状況を大公開。そんじょそこらのトホホとはトホホが違う。本家本元元祖開祖、豊富な品ぞろえを誇る老舗がおくる、玉子おしんこ味噌汁付き超特盛りスーパー脱力エッセイ。

裏表紙より
上にあるとおり著者が苦手なものについて面白おかしく書き記したエッセイ集です。「何が何でも困っちゃう」とあるように実に様々なものに困惑します。「あるある」と思うものと「こんなことで困惑するか?」というものが半々くらいで、著者のトホホ具合を笑えなかったり、笑ったり出来ます。1つのエッセイが3ページくらいと非常に短いので通勤の電車内で、駅のホームで、などなどサクサクと読めます。

著者は私よりは少し世代が上なので第三章ではだるまストーブとか手入れのパチンコだとか、ちょっとわからないものも多かったです。同世代の方なら懐かしいでしょうね。ただ、12段変速や方向指示器がついたドハデ自転車が流行ったのは記憶があります。自転車の画像→http://www.cycle-info.bpaj.or.jp/japanese/history/nenpyo/nenp59.htm
今見るとトホホなものですね~(笑) 私も著者同様シンプルな5段変速の自転車しか買ってもらえませんでした。

このあと著者の短篇小説集を読みました。読了しましたが記事はまた後で。

目次
第一章 東京トホホ本舗 店主前口上
第二章 苦手だからトホホなのか、トホホだから苦手なのか
第三章 昔は随分とトホホだった
第四章 人生日々是トホホ也


栗本薫_『グイン・サーガ123 風雲への序章』

「栗本薫_グイン・サーガ123 風雲への序章」を読了しました。→読書リスト

1979年から現在まで発行され続けている超長編小説の正伝。
大雑把に言うと
「剣と魔法の世界」に突如現れた豹頭人身の男「グイン」を中心に繰り広げられる戦国絵巻
といったところです。



書庫_「栗本薫」
WARNING! 以下ネタバレを含みます。注意!!

前巻での懸案だったシルヴィア問題はアキレウスの介入で比較的穏当で妥協ともいえる対応になりました。
結局はシルヴィアが予想したとおり一生幽閉ということになりそうなのでケイロニアは国内に禍根を残すことにはなりそうです。私は唯一シルヴィアの味方だったパリスに咎めが無いようにと切に願います。

久しぶりに第2の主人公ともいえるイシュトの登場です。前回登場した107巻では随分大人になったと思ったイシュトですが方向性は変わったものの相変わらずのやんちゃぶりでカメロンを絶句させます。パワーアップして帰ってきたという感じです。魚に餌をやっているシーンでは逆の方向(悟りを開いたような)に変化したのかと思ったのですがちょっと意外でした。グイン以上の存在感でこれからの物語をひっかきまわしそうです。

スーティーには予想通り食いつきましたね~(笑) 今のところは「会ってみたいもんだ」程度で酷いことを考えているわけじゃありませんが… 会ったときにグインになついていることを知ったらどう反応をするのかも心配です。
でも大物のスーティーならイシュトの手に落ちたとしてもどうこう無いような気もします。もともとフロリーが望む敬虔なミロク教徒でいられるような玉じゃありませんし(笑)
で、スーティーに関する情報を持つブランがクローズアップされます。ヴァレリウス配下の魔道師がついているはずですし、ブランの運命はいかに…というところで次巻です。ブランは好きなキャラなのでちょっと心配です。



最近ちょっと人並みに(笑)忙しく、記事にするのが遅くなってしまいました。
今日もあまり時間がないので皆さんのところへ伺うのは後ほど…

小野不由美_『黄昏の岸 暁の天』

「小野不由美_黄昏の岸 暁の天」を読了しました。→読書リスト
泰王 驍宗は国の再興のため力を尽くしていた。反乱を自ら鎮圧に行った驍宗の留守に泰麒は何者かに襲われ鳴蝕を起こし姿を消してしまう。同じ頃驍宗も戦場で姿を消す。戴国の将軍李斎は反逆者の汚名を着せられながら命がけで脱出し、陽子が登極して間もない慶国に支援を求める。
「風の海 迷宮の岸」の続きで「魔性の子」を十二国側から描いたものです。
「魔性の子」はそれ自体でよく出来たホラーとして完結しています。

自分の国でも反乱があったりままならない状態なのに他の国の心配をする陽子は熱いです。
シリーズ全体の主人公を張るだけの存在感がありますね~ 
十二国の王の中でも人格者である延王でさえ所詮は戦国時代の出自なので考え方が古いです。
胎果は蓬莱の新しい考え方を十二国に取り入れるためのシステムなのかもしれませんね。

陽子発案の泰麒救出作戦ではこれまでに無かった十二国の各国が共同して事に当たります。
救出作戦では氾麟、廉麟などメスの麒麟が活躍しました。オスの麒麟でも延麒六太は陽子と一緒に蓬山に行くなど大活躍ですが、目立たないのは肝心の陽子の宰輔の景麒です。台詞も少ないし…
洗練された趣味人で、自身も女性と見まごうばかりの麗人である氾王はかなり個性的です。
グイン・サーガのナリスのようなキャラクターでしょうか? あまり友達にはなりたくないタイプです(笑)

無事、泰麒は救出されましたが、これからが本当に大変です。驍宗はどこで何をしているのか?
麒麟としての能力を失った泰麒、隻腕の将軍李斎に何が出来るのか?
この話の続きはまだ出版されていないんですよね~(^_^;)

私は出版順に「魔性の子」を一番最初に読んだので泰麒の使令による混乱と救出作戦に伴う異変の区別がついていませんでした。「魔性の子」をもう一度読み直してみようと思います。

椎名誠_『わしらは怪しい探険隊』

「椎名誠_わしらは怪しい探険隊」を読了しました。→読書リスト
離島でのきつい天幕生活に挑む会「東日本何でもケトばす会」の、結成当時の行状記。椎名隊長ほか隊員たちの個性が光る、前代未聞の面白さ!
酒と食糧の大移動、テント張り、かまど設置、ゴミの穴ほり、蚊の大襲来等々、夜明けとともに雑用と自然との戦いが始まり、美しいタ焼け空が疲れきった一日の終わりを告げる―。
海と冒険と仲間、椎名文学の三大要素がたのしめる「怪しい探険隊」ものの、記念すべき第一書。

裏表紙より
著者の椎名誠氏はどちらかというとエッセイや私小説で有名なようですが、私はこれまでSFなどのフィクションしか読んだことがありませんでした。で、初めて読むにあたって有名な「あやしい探険隊」シリーズの第一弾を選びました。

この本では三重県の神島での顛末を中心に著者の気の向くままに「東ケト会」の行状を書き散らしています。
基本的には離れ島へ行って焚き火を囲み、酒を飲んで大騒ぎするだけのことなのですが、独特の文章まわし、
言葉遊びで大変面白く読めます。椎名氏の小説には個性的というかアブナイ人物が多く登場するのですが、
この本に登場する実在の人物もなかなかアブナイ感じです。尋常でない蚊の大群に襲われたり(小説「蚊」
原点か?)、海で潮に流されそうになったり命懸けの目にもあっています。

私はあまりアウトドア生活には縁がありませんがなかなか楽しそうです。
もっとも、かなりメチャクチャなのでついて行く自信はありませんが(^_^;)
炊事班長沢野ひとし氏によるイラストも良い味を出しています。
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