ニュートン 2008-12 虚数

【NEWTON SPECIAL】
どんな“難問”にも答が出せる
虚数がよくわかる
4次元時空,宇宙創生のカギを握る神秘の数
木村俊一/和田純夫
「足して10,かけて40になる二つの数は何か?」。
16世紀の数学者が投げかけたこの問いから,虚数は生まれた。
「オイラーの公式」から「ホーキング博士の虚数時間」まで,
虚数のすべてをあますところなく紹介。

・ちりの彼方にある宇宙
6年目に突入したスピッツァー望遠鏡の最新成果 
協力 田村元秀 画像 NASA

・若田さん,90日間の宇宙滞在へ
渡米直前に語る,ステーションでの実験・生活・医学 
編集部

・大陸の“誕生”にせまる
伊豆・小笠原諸島の地下に謎をとく“カギ”があった
協力 巽 好幸

・雲と霧の民─チャチャポヤス
アンデスに残された遺跡と“空中墳墓”
写真・文 高野 潤 協力 渡部森哉

・機械が“突然変異”するとき
旅客機や新幹線にも利用された,形を「進化させる技術」にせまる 
協力 大林 茂/下山幸治/熊野孝保/JR東海

・学問の歩きオロジー
日本の鉄道事始め(4)─ 鉄道の父,井上勝
水谷 仁

・パレオントグラフィ
水陸両棲の奇獣 デスモスチルス
協力 犬塚則久

・GEOGRAPHIC ─竹内 均
二宮尊徳
村々の復興につくした生涯

編集部(故・竹内 均編集長遺稿)
科学雑誌「Newton」バックナンバー → http://www.newtonpress.co.jp/science/newton/index2.html

ニュートン2008-12をパラ読みしました。

【特集 虚数】
特集は高校の数学で勉強した「虚数」です。
私は一応理系なのですが、実際にその存在意義を感じたことはありませんでした。
・虚数 i の定義は-1の平方根である。
・2次方程式の解の公式に出てくる。
・交流回路の計算に便利らしい。
位の認識しかなく、学生時代は試験の解答欄を埋めるためにしか使ったことはありませんでしたし、
仕事でもお目にかかることはありませんでした。

この特集では普通の数である自然数から始まって整数、有理数、無理数、と数の歴史をひもとき虚数を含む複素数に言及していきます。もともとは数学者の論理遊戯的なものだった虚数が複素平面の発明で実用性を持つに至った過程は興味深く感じました。虚数 i をかけることが複素平面上での左回りの90度回転になるというのは視覚的にもわかりやすく、これを使って解くガモフの問題はとても面白く思いました。

量子力学の基本方程式に含まれていたり、宇宙かいびゃくの謎を説明するのにも使われたり、科学の世界では虚数は必需品のようですが、その辺の説明はよくわかりませんでした(^_^;)

Googleの電卓機能を使うと  (-1)^(1 / 2) = i  とちゃんと計算してくれますよ(笑)

【その他】
パレオントグラフィのデスモスチルスは子供の頃に読んだ豊田有恒のSF小説「時間砲計画」に出てきました。
カバみたいな変な動物ですが、なんか懐かしいです。
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「魔性の子」再読

小野不由美氏の十二国記シリーズは出版されている分は読み終わってしまったのですが、アニメを見たりして私の中で盛り上がったので(笑)再読してみることにしました。ゆっくりと読んでいればそのうち新作が出版されるのではないかと期待しています。

小野不由美_『魔性の子』 初読の記事はこちら

【再読の感想】
以前は本編の前に読んだのでわからない部分もあったのですが今回は十二国の世界を知った上なのでよく理解できました。異変に右往左往する登場人物たちを神の視点(笑)で俯瞰するのはちょっと快感です。単品でも完成されたホラーとして楽しめるのですが、このように再読すると一粒で2度美味しくて(笑)ちょっとお得です。本作の狂言回しの広瀬はアニメの杉本のキャラクターの原型のようです。本編前に外伝が書かれるという異例のスタートだった十二国記ですが本編との齟齬がほとんどないのはさすがだと思いました。きちんと構想が練られているんですね。

F・ポール・ウィルスン_『触(タッチ)手』

「F・ポール・ウィルスン_触(タッチ)手」を読了しました。→読書リスト
町医者のアランは献身的に仕事に励む毎日を送っていた。「より良い医療を」と強い志を持つ彼は日々最新医学の勉強に努めていたが、全ての病気を治すことは当然不可能であった。
ところがある出来事を境にして触れるだけでいかなる病も治療する能力-「タッチ」を身につける。
ここまでハズレの無いウィルスンの作品なので非常に期待をして読み始めました。
正直、序盤はちょっとかったるい感じでした。主人公は正義感の強い医者の鑑のような人物で面白みには欠けますし、ヒロインは慈善事業に熱心な有閑マダム、なんかメロドラマのような幕開けです。しかし、「タッチ」の能力を身に付けてからはグイグイひき込まれました。

【主要登場人物】
・アラン … 誠実で献身的な町医者。「タッチ」を身につける。
・シルヴィア … 資産家の未亡人。重度の自閉症のジェフィを養子にしている。
・バー … シルヴィアの運転手。ベトナムからの移民。
・マクレディ … 上院議員。不治の病に罹っている。
・チャールズ … 神経学研究室主任。ジェフィとマクレディの主治医。

「タッチ」を得たことにアランは戸惑いますが生来の善意からその力を有効に使おうとします。
噂を聞きつけたマクレディが陰謀を企み… というような展開で物語は進みます。
「タッチ」が単に病気を治すだけならあまり問題はないのですが…

テーマがテーマなだけに、おおげさな怪奇現象や異形の怪物の出現も無く、これまでに読んだ作者の作品に比べるとかなりおとなしめです。ホラーが苦手な人にもオススメできます。

登場人物で魅力的なのはチャールズです。毒舌が冴える皮肉屋で誰に対しても臆することがありません。
科学の絶対的な信奉者で常に冷静な判断をします。とは言え実は全く違った面も持っています。
後半毒牙を抜かれたようになってしまったのがちょっと残念でした(笑)

「おとなしめ」とはいえ物語は少しずつ加速していきます。スリリングな終盤はこれまでに読んだ他の作品と同様で、また一気読みをしてしまいました。どう着地するかなかなか予想がつきかねたのですが、ちょっと意外で、穏やかで、実は恐ろしい結末になっています。無理やりハッピーエンドに持ち込んだ気がしないでもないですが…

基本的にはトンデモホラーなのですが、なかなかリアルな人物造形がされています。アランだけは100%の善人なのですがその他の人物は善と悪との差異はごくわずかです。例えばシルヴィアがジェフィを「タッチ」で治療する事を躊躇う理由の一つは非常に利己的ですし、チャールズのアランに対する態度の変化はあからさまです。
すっかり悪人扱いのマクレディが可哀想になったりしました(笑)

自分自身や身近な人の病気や死の問題は切実で決して避けることが出来ません。
娯楽作品でありながらそんなことを考えさせられました。


表紙絵はこちら

読書リスト(7)

読書リスト(7) No.1067~1109
書名から当ブログ内にリンクしています。

No.日付書名ジャンル 作者面白度
11092010/12/28蒼路の旅人ファンタジー上橋菜穂子A
11082010/12/20タイガーブックス 第8巻コミック手塚治虫B+
11072010/12/16六とん2ミステリー蘇部健一A-
11062010/12/1神の守り人ファンタジー上橋菜穂子A
11052010/11/17ナイトワールドホラーF・P・ウィルスンA
11042010/9/30闇の報復ホラーF・P・ウィルスンA
11032010/9/24不連続殺人事件ミステリー坂口安吾B+
11022010/9/13頭文字D 41コミックしげの秀一B+
11012010/9/10虚空の旅人ファンタジー上橋菜穂子A-
11002010/8/20メドゥサ、鏡をごらんホラー井上夢人A
10992010/8/7日本探偵小説全集 (9)ミステリー横溝正史A-
10982010/6/29金の言いまつがい ほぼ日刊イトイ新聞A-
10972010/6/24時の門 ハインライン傑作集(4)SFR・A・ハインラインA-
10962010/6/10神は沈黙せずSF山本弘A-
10952010/6/1SFバカ本 たいやき篇プラスSF大原まりこ、岬兄悟 編A-
10942010/5/24フェルマーの最終定理数学S・シンA
10932010/4/14エッジホラー鈴木光司A-
10922010/3/25不眠症ホラーS・キングA-
10912010/3/10頭文字D 40コミックしげの秀一B+
10902010/2/18マインミステリーR・R・マキャモンA
10892010/1/27六枚のとんかつミステリー蘇部健一A-
10882009/12/24グイン・サーガ130 見知らぬ明日ファンタジー栗本薫A-
10872009/12/4リボーンホラーF・P・ウィルスンA-
10862009/11/20金田一少年の事件簿 1-3コミック原作:金成陽三郎B+
10852009/11/17頭文字D 39コミックしげの秀一B+
10842009/11/16夢の守り人ファンタジー上橋菜穂子B+
10832009/10/29占星術殺人事件ミステリー島田荘司A-
10822009/10/16グイン・サーガ129 運命の子ファンタジー栗本薫A-
10812009/10/5グイン・サーガの鉄人ファンタジー栗本薫 監修A-
10802009/9/14ぬしさまへファンタジー畠中恵B+
10792009/8/18グイン・サーガ128 謎の聖都ファンタジー栗本薫A-
10782009/8/7T型フォード殺人事件ミステリー広瀬正A-
10772009/7/24覆面作家の夢の家ミステリー北村薫B+
10762009/7/13フィーヴァードリームホラーG・R・R・マーティンA
10752009/6/29詩羽のいる街 山本弘A-
10742009/6/24おおきく振りかぶって 1~3コミックひぐちアサB+
10732009/6/18グイン・サーガ127 遠いうねりファンタジー栗本薫A-
10722009/6/9ダーク・タワーⅦ 暗黒の塔ファンタジーS・キングA
10712009/5/14頭文字D 38コミックしげの秀一B+
10702009/4/22重力ピエロミステリー伊坂幸太郎A-
10692009/4/15グイン・サーガ126 黒衣の女王ファンタジー栗本薫A-
10682009/3/17触(タッチ)手ホラーF・P・ウィルスンA
10672009/3/11吟遊詩人ビードルの物語ファンタジーJ・K・ローリングB

J・K・ローリング_『吟遊詩人ビードルの物語』

「J・K・ローリング_吟遊詩人ビードルの物語」を読了しました。→読書リスト
ハリー・ポッターシリーズの最終巻でダンブルドアがハーマイオニーに遺品として残した本。
魔法世界に古くから伝わる5つの童話が収録されている。ダンブルドアによる解説メモ付。
幼年の魔法使いが読んだり読み聞かされる(という設定の)物語なので「人には親切にしましょう」「仲良く協力しましょう」「謙虚に暮らしましょう」などの教訓を導くものとなっています。登場人物に必ず魔法使いが出てきますが、マグル(人間)界に実在する童話の焼き直しの感は否めないところで、あまり独創性は感じませんでした。

その中で『毛だらけ心臓の魔法戦士』は「闇の魔法」を使ったエリート魔法使いの悲劇を描き「闇の魔法はダメよ」という魔法世界独自の教訓を導くという点でちょっと異色です。救いの無い結末は私の好みでもあります(笑)

「ハリー・ポッターと死の秘宝」にも出てくる『三人兄弟の物語』については、本編中で語られた内容に追加する部分はあまり無く、ちょっと肩透かしを喰った感じです。兄弟の日頃の性格の違いや、その後の運命の詳細が描かれているのを期待したのですが…

シリーズを読んだ方なら世界観を補足するために読んでも良いでしょう。
大ファンならコレクターズアイテムとして所有する価値はあるかもしれません。

収録作品
・魔法使いとポンポン跳ぶポット
・豊かな幸運の泉
・毛だらけ心臓の魔法戦士
・バビティ兎ちゃんとペチャクチャ切り株
・三人兄弟の物語

SFマガジン 2007-10

世界SF大会「Nippon2007」開幕直前特集
いよいよ8月30日に開幕の迫った日本初開催のワールドコンを特集する。
今大会のゲスト・オブ・オナーであるデイヴィッド・ブリンの最新ノヴェラ200枚を一挙掲載。
そのほか、企画タイムテーブル、お薦め企画紹介などで、ワールドコンの歩き方をガイドする。
[特集内容]
○「スカイ・ホライズン」デイヴィッド・ブリン
・ワールドコンの歩き方「参加しないと始まらない-ワールドコン・メイン・ガイダンス」大橋博之
・ワールドコンの歩き方「テーマ別お薦め企画ガイド」井出聡司/東茅子/編集部
・ワールドコンの歩き方「ワールドコン主要企画タイムテーブル」編集部=編

【読切】
「蝉とタイムカプセル」 飯野文彦

飯野文彦インタビュウ「史上最低の酔いどれ詩人」 インタビュアー/構成 笹川吉晴

【連載】
「這うもの吸うもの齧るもの 《椎名誠のニュートラル・コーナー》第4回」 椎名誠
「小角の城 第13回」 夢枕獏
「罪火大戦ジャン・ゴーレ 第三十三回」 田中啓文
「吉野擾乱 《霊峰の門》第十一話」 谷甲州
SF Magazine Gallery 「祓魔師娘」 帝国少年

表紙イラスト:日野讓
ハヤカワ・オンライン→http://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/720710.html

SFマガジン 2007-10をパラ読みしました。
連載小説《小角の城》夢枕獏 第13回の掲載号です。

【読みきり小説】
「デイヴィッド・ブリン/スカイ・ホライズン」はファーストコンタクトもののSF。
高校生の主人公は遭難したエイリアンを助けた。遥かに進んだ科学を持った彼らからの贈り物とは?
シニカルな結末にニヤリとしました。良く考えると現実的でありがたい贈り物ではありますが…

「飯野文彦/蝉とタイムカプセル」は幻想的でグロテスクなホラー。
インタビュウ記事を先に読んだ時点ではかなりエログロな作風のようだったので「無理かも…」と思い読み始めましたが、意外と大丈夫でした。とは言えラストは「蠢き、ぐちゃぐちゃの…」で決して気持ちの良いものではありませんでしたが(笑)

【連載小説】
「小角の城」第13回
加藤段蔵の奇怪な忍術の逸話の続き。段蔵は仕官しようと上杉謙信、武田信玄に接触する。
しかし謙信も信玄もその術の凄さを恐れ殺そうとする。だが段蔵はその都度幻術を使いあっさり逃走する。

【そのほかの記事】
エッセイ「椎名誠のニュートラルコーナー」はヘビ、クモ、ゴキブリなど嫌われ者の話。
椎名氏は余程こういうものが好きなんですね~ 私も嫌いじゃないですが(笑)

【気になった本】
紹介されている本で気になったものを以下にメモしておきます。
・森博嗣/ZOKU
・鏡明/不確定世界の探偵物語
・小林めぐみ/食卓にビールを
・ケネス・オッペル/エアボーン
・エドモンド・ハミルトン/フェッセンデンの宇宙

Firefoxのアドオン


去年の9月にブラウザをFirefoxに変更しましたがIEよりも便利なのでずっと使っています。
このFirefoxには機能を簡単にカスタマイズできる「アドオン」というものがあります。
今回は私が使っているアドオンを紹介します。他にも良いやつがあったら教えてくださいね~♪

(1)IE Tab

サイトによってはIE用に設計されたものがありFirefoxでは作動しません。
このアドオンを使えば一時的にIEのレンダリングエンジンを使うことによって、そんなサイトでも表示できます。
右下のアイコンでIEとFirefoxを切り替えます。特定のサイトを自動的にIEで開くことも出来ます。

(2)All-in-One Sidebar

いろいろな機能を持ったサイドバーですが、私は専らブックマーク表示に使っています。
設定の全般でサイドバーの自動開閉を有効にすればカーソルを移動するだけでブックマークが表示されます。

(3)Favicon Picker 3

ブックマークのアイコンを変更するアドオンです。
ブックマークツールバーによく見るページを登録するとすぐに開けて便利ですが数に限りがあります。
テキスト表示をやめればたくさん入りますが今度は区別がつかなくなります。
そこで、このアドオンでアイコンを変更すれば区別がつくようになります。

登録方法⇒【アイコン上で右クリック、プロパティ、Browse】

アイコンは適当なフォルダに画像を用意しておけば(jpg gif bmp など)OKです。



以下はアドオンじゃありませんが基本機能で便利なものです。

(4)タブを1つ残して閉じる

⇒【タブの上で右クリック、「他のタブをすべて閉じる」】

無計画にタブをいっぱい開いても一発ですべて閉じられます。

(5)マウスで選択した範囲(単語)を検索

webページ上で選択した範囲をそのまま検索エンジンで検索できます。

⇒【検索したい単語をマウスで選択、右クリック、「~で検索」】

検索結果が新しいタブで開きます。いちいちコピペしなくて済みます。

(6)ツールバーから新しいタブを開く

「新しいタブ」のボタンを追加すればツールバーから新しいタブを開けます。

追加方法⇒【ツールバー上で右クリック、カスタマイズ、開いたウィンドウからドラッグ&ドロップ】

Risu Akizuki_『THE OL COMES OF AGE』

「Risu Akizuki_THE OL COMES OF AGE」を読了しました。→読書リスト
あなたの会社の社長も読んでいる…!?ビジネス書でも、社会学の本でもありません。
いわゆるただの4コマ漫画です。
とある会社の総務課を舞台に繰り広げられるOLたちの華麗なる?日常。

日本語版1巻のイントロダクション(Yahoo!コミック)を引用
1989年から週刊モーニングに連載されている「秋月りす_OL進化論」の1巻の英語版です。
モーニングは欠かさず読んでいた時期があったのでブッ○オフ100円コーナーで懐かしく思い手に取りました。

上にもあるように「ただの4コマ漫画」ですが、いつ読んでも面白いパワーを持っています。
原作はまだ連載されているのを知り、ちょっと驚きました。こういうのは時代を超えて人気なのですね~

簡単な英語なので私の錆びついた英語力でも大体理解できました。スラングや擬音でピンと来ないものもありますがその辺は巻末のNotesでカバーされています。それでも意味不明なやつもありました(笑)

↓の日本語版を見たらなんか違和感が… 閉じ方の関係なのでしょうか左右逆なのです。
英語版ではペンや箸を持つ手がみんな左です。もっとも比較するまで気がつきませんでしたが(^_^;)

日本語版はYahoo!コミックで立ち読み(無料)することが出来ます。
http://comics.yahoo.co.jp/kodansha/akidukir01/ohherusi01/shoshi/shoshi_0001.html


上橋菜穂子_『闇の守り人』

「上橋菜穂子_闇の守り人」を読了しました。→読書リスト
バルサは25年ぶりに生まれ故郷のカンバル王国に戻ることにした。
国境の洞窟でカッサとジナの兄妹を助けたバルサはヒョウル(闇の守り人)と相対するが…
「精霊の守り人」に次ぐ守り人シリーズの2作目です。
巻頭に地図、人物紹介、用語集がまとめられていてとてもわかりやすくなっています。
児童文学としては少々複雑なのでそれに対する配慮なのでしょうが、私も重宝しました(笑)
本文中でも社会の仕組みや世界の原理をわかりやすく説明してくれるので迷子にならずに済みます。

最大の謎はヒョウルの正体なのですが、これは序盤に仄めかされています。私は途中で忘れてしまい(笑)何かヌメヌメした化け物を想像していました。ユグロや故ログサムの陰謀をバルサたちが断ち切ること、その過程で〈山の王〉を中心としたカンバル国の成り立ちを読者に明らかにすること、が物語の大筋になっています。

主人公のバルサは「精霊の守り人」では偶然巻き込まれた感じですが、今回は正に物語の核となっています。
女ながら半端じゃない強さは単にジグロの教えのせいだけでなくまだ何か隠された理由がありそうです。
今回の事件で過去の呪縛からはどうやら解放されたようですね。

「精霊の守り人」では異形のものがたくさん出てきましたが今作ではあまり出てきません。〈牧童〉や〈オコジョを駆る狩人〉など小さい人々以外では蛇のような外見の〈水流の狩人〉位です。ファンタジー色を抑えて人を描くことに重点を置いたのでしょう。異世界〈ナユグ〉にもあまり言及がありませんが〈山の王〉はナユグの住人のようです。

色々と示されるの謎は話が進みにつれて伏線が気持ちよく回収されていきます。複雑さと分かりやすさのバランスがちょうどいい感じでとても楽しめます。また「闇=悪」というありがちな図式ではないのもちょっと新鮮です。
「精霊の守り人」で語られた世界との一体感がいまひとつなのがちょっと気になりましたが、これはシリーズを読み進めば解消されそうですね。

*R・ジェサップ_『摩天楼の身代金』

「リチャード・ジェサップ_摩天楼の身代金」を再読しました。
1994年以前に読了した作品。
ニューヨークの超高級マンション「セントシア・タワー」でメッセージがみつかる。
『貴社の警備体制を突破した。俺には突破が可能であり、これからも突破するつもりであることをここに通告する。これは第一回目だ。 -スレット(脅迫)』
セントシア・タワーの責任者らはスレットの正体を突止めようと徹底した調査を行うがことごとく空振りに終わる。彼らは身代金受け渡しの瞬間こそ犯人逮捕の最大のチャンスと目論むが…
藤中さんの「オリンピックの身代金」の記事をみて身代金つながりで思い出したので再読してみました。
初読のきっかけは以前記事にした「マイナス・ゼロ」を勧めてくれた友人の紹介でした。

上のあらすじには被害者側の視点だけ書きましたが、実際にはスレット側の視点と交互に描写されていきます。
スレットの脅迫は(当時の)ハイテクを駆使した緻密で大胆なやりかたです。ベトナム戦争で情報関係の任務にあたっていた彼は、常に冷静に、様々なことに気を配り、全ての知人を欺き、計画を遂行していきます。目的のためには殺人も躊躇しない冷徹さを持つ反面、意外と優しい面も持ち合わせています。

非情な手段は共感できるものではありませんが、こういうクライムノベルではどうしても犯罪者に肩入れしてハラハラしてしまいます。この緊張感が堪らないのです(笑) また被害者側の描写もなかなかで正体のつかめないスレットにヤキモキする様子が手に取るようです。

この作品の最大のポイントは「身代金受け渡しの手段」なのですが、これはさすがに忘れてはいなかったので今回は大きな衝撃はありませんでした。それに良く考えると、不確実な部分や危険な部分も多く、ちょっと陳腐にも感じられました。しかし出版当時(第一刷は1983年文春文庫)には斬新なアイデアだったのでしょうし、これから派生した作品も結構多いのかもしれません。

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